五輪延期の選手村マンション「晴海フラッグ」 “価値ナシ説”に反論
晴海フラッグは普通のマンションではない
販売中止前の晴海フラッグの価格、全戸平均坪単価305万円を今の相場観で見ると、「だいぶ安く感じる」のが率直な印象です。
近隣で比較すると「パークタワー勝どきミッド(勝どき駅徒歩1分)」は坪単価約455万円、「ブランズタワー豊洲(豊洲駅徒歩4分)」は坪約415万円、「プラウドシティ東雲キャナルマークス(豊洲駅徒歩10分)」は坪約335万円で売られており(すべて新築)、前述の通りかなりの人気です。中央区でこの価格はもう2度と出ない水準でしょう。
同じ坪単価水準を求めると、郊外に視線を移さなくてはなりません。たとえば、「ザ・パークハウスさいたま新都心(販売済、さいたま新都心徒歩5分)」坪約295万、「プラウド朝霞台(販売済、朝霞台駅徒歩5分)」坪約290万円、「クレヴィア南千住 RIVER SIDE TWIN(南千住徒歩8分)」坪約310万円などです。
晴海フラッグは、普通の板状マンションではありません。パラリンピック選手が使えるように共用廊下も広く、バリアフリーが徹底されています。コストダウンが激しい最近の新築マンションとは違い、建物にお金がかけられているため、非常に贅沢なつくりになっています。
各階にはゴミ捨て場が設けられ、コミュニティの拠点となる共用施設があらゆるところに用意されている、ネットインフラや水素インフラも強力に整備されている。そういうマンションです。その代わり、維持費は通常より高くなっていますが、メリットが上回っていると私は判断します。
「再販売されたら人気マンションになる」と断言できる
それに、マンションから駅が遠いという点は、現時点で入居開始を予定している2024年頃には、あまり不利でなくなる可能性もあります。コロナ禍が終わっても在宅ワークの流れは止まらないでしょうから、通勤は週2だけで良い……というようになれば、駅から遠くても許容範囲と感じる人も多いはずです。都心への絶対距離がとても近い郊外、それが晴海フラッグです。
入居が始まる2024年前後は、ちょうど自動運転タクシーが始まるのではないか? と予想されている頃ですから、電車という従来型の大量輸送手段だけでなく、BRT(バス・ラピッド・トランジット)・バス・自動運転タクシー、もちろん電車などさまざまな交通手段をミックスして使うことができるようになるはずです。オフィス街にも近いので、シェア自転車も十分有効な交通手段となりえます。
ですから、「もし販売中止前の価格据え置きでこの夏以降に再販売されるとしたら、晴海フラッグは空前絶後の人気マンションになる。坪単価水準で考えると郊外並の価格で東京都中央区のマンションが販売されることなんて、二度とないのだから」。
東京湾岸エリア専門のマンションブロガーとして、断言させていただきます。
<TEXT/不動産ブロガー のらえもん>