累計22.5億袋「カラムーチョ」は辛くなくなった?湖池屋に“噂の真相”を聞く
韓国グルメから新たな「甘辛カラムーチョ」が誕生
しかし、2020年11月にはコロナ禍を契機とした時代変化に向け、新たな価値を創造するべくムーチョブランドのリニューアルを行った。そして、カラムーチョの新たな辛さの可能性を見出すべく、“甘辛”に着目した「甘辛カラムーチョ」を2021年2月から発売している。
甘辛というカテゴリーを作った背景について加藤氏は「恒久の課題である、辛いものが嫌いな人は買ってくれないという状況を打破したかった」とし、次のように語る。
「激辛だけではない、新たなムーチョブランドを訴求したいという思いがあり、『辛い以外に刺激のあるものは何か』と考えていました。そのなかで、昨今の盛り上がりを見せる韓国料理に目を付けたんです。実際に新大久保へ足を運び、若年層に人気で韓国の定番フードの『ヤンニョムチキン』を実食したところ、『これは激辛ではなく甘辛ブームなのでは』と感じたんですね。
そこで、ヤンニョムチキンの特徴である甘辛ダレのやみつき感と、日本生まれのテリヤキバーガーのような醤油と砂糖だけで作り出す甘辛感のエッセンスを取り入れて商品化することに成功しました。結構な自信作で、初発は近年の中で一番堅調に推移していますね」
コロナ疲れしてきたら「ムーチョしようぜ!」
コロナ禍で消費者のライフスタイルや消費動向が一変するなか、激辛ブームの先駆者であるカラムーチョは今後どんな取り組みをしていくのだろうか。最後に今後の展望について加藤氏へ聞いた。
「実は、巣篭もり特需に見る他社の伸びにも増してカラムーチョは伸び率が良かった」と語る同氏だが、「コロナ禍だからこそ、味や美味しさといった“機能的価値”だけではなく、感情や心を満たされる“情緒的価値”も訴求したい」という。
「カラムーチョが巣篭もり需要で特に選ばれる大きな理由のひとつとして“コロナ疲れ”があると考えています。マスクや消毒、外出自粛といった日常生活での様々な規制やテレワークで人との接触機会の減少など、不自由を強いられることでストレスや疲れを感じる人が増えている。
そんな時、ふと辛いものが食べたくなる瞬間があると思っていて、そこにカラムーチョのブランドがうまくマッチしているのではという仮説があります。
今後は『カラムーチョを食べたら楽しいね、ワクワクするね』と言われるようなエキサイトする商品を目指していきたいですね。単なるスナックというカテゴリーにとどまらず、異業種とのコラボなどを通して『エキサイトできるコンテンツ』に昇華できるよう尽力していきたい」
昨年のブランドリニューアル以降、「溜め込まず、発散しよう」と呼びかける合言葉「ムーチョしようぜ」をもとに、気分転換やリフレッシュにつながるブランド訴求を積極的に行っているという。新時代に向けたカラムーチョの今後の動向に注目したい。
<取材・文・撮影/古田島大介>