アプリの設計で三日坊主を防ぐ

　言語学習の最大の壁はモチベーションの継続だ。Duolingoにはユーザー同士で毎週獲得したポイント量を競い合い、昇級・降格が決まるリーグ機能などもあるが、こうしたゲーム要素以外にも継続のための仕掛けが数多く施されているようだ。

「語学学習はスプリントではなくマラソンで、習慣化が最も大切。多くの語学学習者がそこで挫折するわけですが、ウイットに富んだ通知、スキマ時間でできるレッスンなど、いかに習慣化するかに重点をおいた、アプリの設計をしています。」

プッシュ通知で学習の時間をお知らせ

　レッスンは1セット5分程度。リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングが含まれ、三日坊主の人でも外出先などでのちょっとした空き時間を活用し、継続もしやすそうだ。

「プッシュ通知ひとつとっても、どんな文言をどのタイミングで、どういった行動をしたユーザーに当てるのが最も効果的か、ノウハウが活かされています。何日もアプリを開いていないとポップアップする『もうこの関係おしまいかな』というウィットに富んだ通知に関しても、何千、何万というABテストの結晶です。受講率を増やすためにリマインドなどどういった言い回しが適切か、常にテストを繰り返していますね」

より実践的な英会話を学べる機能も

　レッスンを受ける際に「アドバイス」ボタンから文法など英語のルールを確認することも可能。英語から久しく遠ざかっている人には忘れているものも多いが、進めていくとボキャブラリーも相当増えるという。

「忘れていそうな単語や、意味を間違えた単語も全てアプリに学習される仕組みで、ウェブ版では過去に学習した単語の一覧を見られます。まだ覚えている単語から忘れかけている単語まで記憶の強さの順に並ぶので、あやふやな単語も効率的に覚えられます」

　近年の英語学習ではアウトプットに特化したメソッドなどもあるが、「第二言語の取得にはあくまでも、インプットとアウトプットの両方が必要でマルチな勉強方法で進めるとより効果的です」と水谷氏は話す。そして、より効率的に英語を学ぶための秘訣を次のように語った。

「ストーリー機能のセリフを身近な人と実際に言い合ったり、ネイティブの方と話したり、英語の本を読んだり、月並みですけど出た単語やフレーズを紙に書き出すだけでも記憶の定着が大きく変わります」