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挫折しがちな英語学習を克服。世界5億人が使う「無料アプリの秘密」を日本事業責任者に聞く

ビジネス

 新型コロナウイルス流行でリモートワークやオンライン授業が導入された結果、家で過ごす時間が増え、“自分磨き”などのキャリアアップに励んでいる人もいるかもしれない。代表的な自分磨きとして語学学習がよく挙げられるが、挫折した経験を持つ人は少なくないはずだ

英語

画像はイメージです

  今回は5億人以上がダウンロードする世界で最も人気の語学学習アプリ「Duolingo」(デュオリンゴ)のJapan Country Manager水谷翔氏にインタビューし、英語を学ぶ意義、人気の秘訣を教えてもらった。

開発者は「CAPTCHA」を発明した人物

 現在、英会話学習アプリ市場では、リクルートが運営するスタディサプリ(月額2178円)や、Speak Buddy(月額1950円)といった有料のアプリが多くのユーザーを獲得しているが、それに対してDuolingoは基本的に無料。

 開発者でDuolingo, Inc. CEOのルイス・フォン・アーン氏は、ウェブにアカウント登録などの際に使われる「CAPTCHA認証」の仕組みを発明した人物としても知られる。Duolingoの誕生にはグアテマラ出身のルイス氏が、経済的格差による教育の不公平性に強い問題意識を抱いていたことがあるという。

「義務教育で英語を学んでいる日本の状況は逆に珍しいんです。英語アレルギーという言葉がありますが、中学生の頃に全くゼロの状態で授業に放り込まれ、その後の人生でずっと苦手意識やコンプレックスを抱える人が多い。反対に英語の授業の前に何かしらのかたちで英語に親しんだ人は、授業がわかるから英語が好きになり、相乗的に英語が得意になっていくんです」(水谷氏、以下同)

 実際、グアテマラでは一部の公立学校でDuolingoが導入され、収入の少ない家庭の子供たちも英語学習の機会を創出。米国では公立学校よりもDuolingoで語学を学ぶ人が多いという話もある。

翻訳アプリがある時代に英語を学ぶ意義とは

英字新聞

 しかし、精度の高い翻訳アプリやAI翻訳機などもある今の時代に、そもそも英語などの外国語を学ぶ意義とは何か。

「単に語学の習得以上に他国の文化や価値観を深いレベルで理解できるグローバルリーダーの存在が今後ますます求められてきます。職位などに関係なくメンバー全員がリーダーシップを発揮できる組織は強いですから。外資系企業の給与水準が高いのは語学力そのものより、組織のあり方や価値観の違いによるものですが、そこに当てはまるには英語力が必要なんです

 英語ができれば、人材市場での希少性は格段に増し、収入もそれだけ増える可能性が高い。さらに水谷氏は現地の言葉で“生の情報”に触れるメリットを強調する。

「映画やドラマの翻訳もそうですが、海外の報道が元のニュアンスと違うかたちで日本に入ってくることが、特にフェイクニュースの文脈で多くあります。スピーキングに比べリーディングは鍛えやすいので、英語を読めるだけで情報アクセスの選択肢が爆発的に増えることは大きなメリットです
 
 例えばマーケティングについてブログを書かれる方は、マーケティングの最先端の情報を本家本元の英語で先取りして、日本で展開できる。結果的に発信活動の幅も大きく広がります」

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