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マクドナルド、サイゼリヤetc. 苦境の「飲食業界」社員の口コミに見る実情

ビジネス

 就活生や転職者が「この会社・業界ってどうだろう?」と思った時、強い味方になるのが「口コミサイト」です。昨今では、現役社員やOBが体験談を投稿できる口コミサイトが多数登場していますが、ネットの情報だけで、どこまで企業・業界のことがわかるのでしょうか?

飲食業界

※イメージです(以下同じ)

 2020年は新型コロナウイルス肺炎感染拡大の影響を受け、飲食店の倒産が11月までで736件に達し、過去最多となりました(帝国データバンク調べ)。そこで、「フードサービス・飲食業界」について、就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」(オープンワーク株式会社)のデータをもとに、主力企業の特徴を比較しました。

フード・飲食業界「チャート形式」で比較

飲食業界

図:フードサービス・飲食業界の口コミ数が多い企業(降順・9社分)

「フードサービス・飲食」業界については同カテゴリの企業が3,302社あり、すべてを紹介するのは難しいため、口コミ数が多い企業に絞ってご紹介します。結果、上位9社は下記の通りでした(※順位・口コミ数・評価・ランキング画像は記事作成時の2020年12月19日時点のスコアを使用。また業界9社の口コミ合計は約1万2000件。ただし1人で複数項目の書き込みをするため口コミ数=人数ではない、以下同)。

【口コミ数が多い企業】
1位:日本マクドナルド株式会社(評点 3.33)
2位:スターバックスコーヒージャパン株式会社(評点 4.06)
3位:株式会社すかいらーくホールディングス(評点 2.81)
4位:ワタミ株式会社(評点 2.88)
5位:株式会社モンテローザ(評点 2.67)
6位:株式会社サイゼリヤ(評点 2.97)
7位:株式会社サザビーリーグ(評点 3.04)
8位:株式会社ドトールコーヒー(評点 2.73)
9位:株式会社JR東日本フーズ(評点 2.78)
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 口コミ数上位のうち、平均スコアが4点台の会社が1社のみ(スターバックス)という状況です。この特徴を踏まえて、上位9社で評価が共通している項目・会社ごとに評価が異なる項目を確認したところ、上位企業それぞれが異なるグラフの形状でした。

 評価が共通している項目はなかったため、特に上位9社間で差が大きい「法令順守意識」「社員の士気」について見ていくことにします。

フード・飲食業界「法令順守意識」

飲食

 まずは「法令順守意識」について、スコアが高い順に企業を並び替え、上位企業を確認してみましょう。

【法令順守意識ランキング】
1位:株式会社ハブ
2位:株式会社アレフ
3位:スターバックスコーヒージャパン株式会社
4位:ロイヤルホールディングス株式会社
5位:株式会社中村屋
6位:東日本フード株式会社
7位:株式会社サッポロライオン
8位:株式会社ジェイアール西日本フードサービスネット
9位:株式会社ダスキン
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圏外:株式会社モンテローザ(2.3)
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「法令順守意識」ランキング1位の株式会社ハブは英国風パブ「HUB」の運営で知られています。なお、2位の株式会社アレフは北海道発のハンバーグレストラン「びっくりドンキー」の運営元です。

 口コミ数上位の企業に着目すると、9位以内にランクインしたのはスターバックスコーヒージャパンのみです。また、口コミ数上位の企業の中でスコアが最も低かったのはモンテローザで、スコアは2.3でした。イメージがつかみやすいよう、「法令順守意識」観点で評価が高い企業のコメントと、口コミ数上位の中で「法令順守意識」観点が低めの企業のコメントをご紹介します。

【平均評価が高い:スターバックスコーヒージャパン社員の口コミ】
残業は基本ほとんどないです。たまに欠員がでたり年末年始等忙しい時には残業したりしていますがそれ以外はほとんどなくプライベートの時間もきっちり取れたので問題はありませんでした。
店長によるかもしれませんが有休消化もたくさん取らしてもらえる雰囲気だったので、昨年は有休消化100%させてもらえましたし、地区をまとめるDMからは1週間休んで旅行行ってきていいよ!っていう感じで言ってくれたりしたので長期休暇ももらえて海外旅行もさせてもらえたりとてもプライベートも充実できました(ASM、在籍3年未満、女性)

【平均評価が低め:モンテローザ社員の口コミ】
給料だけを求め、仕事で成績を出せば生き抜けていけるがかなり厳しい現実です。上手く店を作り上げれば楽かもしれませんが、なかなか上手くはいきませんね。
自腹で消耗品、備品買ったこともありますし、退勤押して働いたこともあります。僕はかなり少ない方だと思いますが、僕より身を削っている人は山ほどあると思います。会社自体危機的状況です(居酒屋、正店長、在籍3年未満、男性)

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 法令順守意識は「現場の休みの取りやすさ」「残業量」に現れやすいので、特に注意して確認しましょう。気になる企業のクチコミに「自腹での備品購入」や「サービス残業」の存在が疑われる場合はあまりお勧めできません。応募を控えるなど、ご自身で再考したほうが良いです。月あたりの残業量については、OpenWorkの場合は平均値が算出されている企業もありますので、参考にしてみてください。

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