東京五輪開催にはコロナ以外の不安も。テロの危険に、酷暑でマスク
一般人が起こすテロには注意が必要
一般人が起こすテロはもう防止しようがない類のテロで、近年でも欧米諸国で繰り返し発生している。大量殺戮が可能な銃器やミサイルといった破壊力ある武器を使うのではなく、ナイフやトラック身近に手に入るものを使うことから、準備も難しくない。
欧米諸国では、トラックや車をレンタルして、その後、歩行者天国に突っ込むテロが起こっている。開催期間中は、人々でごった返す場所や時間帯に注意が必要だ。すなわち主要駅や満員電車、繁華街、また朝や夕方のラッシュアワーも可能であれば、なるべく避けることを勧めたい。
また、オリンピックの開会式や閉会式は象徴的なイベントであるため、そういった瞬間が狙われる可能性も否定できない。
猛暑の中、マスク着用は酷だが…
テロ以外に、現実的な脅威としては酷暑がある。2021年の夏がどれほど暑いかは分からないが、時期が時期だけに相当暑いと予想される。
たとえこのまま感染拡大が収まったとしても、マスクが必要な大会になる可能性が高い。2020年に嫌というほど味わったが、それによって日射病や脱水症状を起こす選手や観客が出ることは想像に難くない。
新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の崩壊が叫ばれるなか、医療機関が日射病や脱水症状を起こした患者たちに十分な対処ができるかも分からない。このように、新型コロナウイルスの感染拡大によって、社会はそれへの対処に精一杯であり、オリンピックにおいてのテロや猛暑の問題への意識が薄まっており、危機管理上大きな不安が残る。
これまで汗をたくさん流してきた選手たちの気持ちを考えるといたたまれない気持ちになるが、開催するにあたって、組織委員会は新型コロナウイルス以外の問題にも改めて意識を配る必要があるだろう。
<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>
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