ソフトバンク元社員逮捕。退職する会社のデータ持ち出しは、どこまで許されるのか
楽天モバイル側が罪に問われる可能性も
男が逮捕された1月12日、ソフトバンクは「楽天モバイルが当社営業秘密を既に何らかの形で利用している可能性が高いと認識している」ことを発表。民事訴訟を提起する予定であることを示しました。楽天モバイル側は「当該社員が前職により得た営業情報を弊社業務に利用していたという事実は確認されていない」と発表しています。
しかしながら1月13日、楽天モバイルで使っていたパソコンの中に、持ち出したとみられるデータが保存されていたことが明らかになり、同僚と共有していた疑いが深まっています。今後、もし情報の利用が認められた場合、楽天モバイルはどのような罪に問われるのでしょうか。
「ソフトバンクの元社員は、秘密情報を不正に取得している時点で不正競争防止法に違反しています。さらにその秘密情報を自己が利益を得るために使用した場合、不正競争防止法に定める別の罪に当たります。だからといって量刑が倍になることはありません。
そして楽天モバイルは、ソフトバンクの元社員が保有している情報のソースについて、秘密情報の不正取得だと知っていたら同様に罪に問われます。例えば、逮捕された社員の転職の条件が、『ソフトバンクから技術を持ち出すこと』といった場合、楽天モバイルも共犯関係にあると認定される可能性が高いでしょう」
退職の際、企業の営業情報を所持していることは、たとえ無意識であってもリスクとなることがわかりました。事件の捜査や両社の対応については、今後の動向に注目したいところです。
<TEXT/林加奈>