ソフトバンク元社員逮捕。退職する会社のデータ持ち出しは、どこまで許されるのか
1月12日、ソフトバンクが持つ次世代通信規格「5G」の機密情報を不正に持ち出した容疑で、楽天モバイルに転職していた合場邦章容疑者(45)が逮捕されました。
この事件、具体的にどんな罪で、どんな行動が法に触れたのでしょうか。また、退職時にパソコンのデータを消さないなどして、うっかり持ち出してしまった場合も罪に問われるのでしょうか? 弁護士で公認会計士の資格を持つ後藤亜由夢氏に聞きました。
ソフトバンク元社員はなぜ逮捕された?
ソフトバンクの元社員が高速大容量規格“5G”などに関する営業秘密を不正に取得した、今回の事件。後藤弁護士は「今回の事件では、不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました」とし、次のように述べます。
「不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を害する不正競争行為を禁止する法律です。同法に違反した場合、違反者は損害賠償や不正競争行為の差し止めなどの民事上の責任を負うと同時に、より悪質な行為であれば罰金刑や懲役刑が科されることになります」
悪質だとみなされた場合、どのような刑事罰が科されることになるのでしょうか。
「営業秘密を不正に取得等する行為は10年以下の懲役、または2000万円以下の罰金に処せられます」
「営業秘密」ってどんな情報?
「ここでいう営業秘密とは、『秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの』と規定されています。わかりやすく言うと『社内だけの秘密にしていて他社には知られていない有用な情報』といったところです。これを不正に取得した場合に刑事罰が科されます」
今回の事件の場合、高速通信規格「5G」に関する技術情報が、営業秘密にあたるわけですね。
「ソフトバンクの元社員は、外部から自分のパソコンを使用して電子メールに添付して自らに送信した行為が秘密情報を不正に取得したとされ、逮捕されたということです」