記者も危うかった「アルコール依存症」。飲んだ翌日の要注意“サイン”
アルコール服用時は自殺リスクが高まる
健康のためには飲みすぎないことが大前提。だが、できれば20代の頃のように心理的安全性が圧倒的に確保された状態でお酒を再び楽しみたいのも本音だ。澤田氏に“ハッピーな飲み会の条件”を聞いた。
「楽しい気分でアルコールを飲むのは良いですが、つらいことがあった時、眠れない時にアルコールを飲むのは好ましくありません。精神状態が不安定な時にアルコールを服用すると、『悪酔い』して余計に気分が不安定になります。近年の研究では自殺はアルコール服用時にリスクが高くなると報告されていますね。寝酒をする方も、だんだん量が増えていってアルコール依存症になることがあります」
また、リモート飲み会など宅飲みの機会も増えているご時世だが、宅飲みはおつまみが疎かになりがちで、ストイックな飲み方になりやすい。
「アルコールの代謝には水と糖分、ビタミンが必須です。食事をしない、もしくは少ししか食べない状況でアルコールを飲むと、身体の臓器に必要な糖分が消費され、脳などの臓器への栄養障害を引き起こします。アルコールを飲む際には、水分を多めに摂り、糖分、ビタミンを含んだ食べ物を食べることが重要です」
筆者は依存症の一歩手前だった…
痛飲した翌日は自己嫌悪感や不快感に気持ちを持っていかれ、仕事に身が入らないこともあり、このまま依存症に発展しないか心配になる。酩酊して気分が高揚した私の言動にも、それなりの真実はあるかもしれない(認めがたいが)。ひと皮剥けばくだらない本性の人間であることも否定しないが、私とて体面は気にする。飲むたびに自らの恥部を声高に曝け出してしまっては困るのだ。
「アルコールがまだ体内に残っていて作業能率が落ちている、離脱症状の不快感のために仕事が手につかない状況ですね。アルコール使用が『社会生活に影響を及ぼしている段階』、つまりアルコール乱用、アルコール依存症の入口です。
治療薬としては、副作用の多い薬が中心でしたが、近年は比較的、副作用の少ない薬『アカンプロサートカルシウム』が販売されています。タバコを吸いたくなる気分を低減する禁煙補助薬のように、飲酒欲求を抑制する薬です」
どうやら私はすでに依存症の入り口に立っていたらしい……。澤田氏によれば、重度のアルコール依存症の場合は専門病院での治療が必要だが、アルコールを減らすモチベーションがある人や飲酒の程度が軽度の人は、心療内科クリニックでも治療できるとのこと。この記事の読者の皆さんにはくれぐれも健康的に楽しくアルコールと付き合ってもらいたい。
<TEXT/伊藤綾>