米Google社員も飲んでる「お~いお茶」、ギネス認定までの舞台裏
緑茶飲料市場は近年、消費者の健康意識の高まりによって活況を呈している。大手飲料メーカーがこぞって商品を展開し、熾烈な“緑茶戦争”が繰り広げられるなか、「お~いお茶」は業界のトップブランドとして緑茶市場を牽引してきた。
今回は株式会社伊藤園 マーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャーの安田哲也氏に、「お~いお茶」が長年親しまれてきた理由やブランドのファンづくりで意識していることについて話を聞いた。
「お~いお茶」に名称変更した経緯
伊藤園は10年の開発期間を経て、1985年に世界初の缶入り緑茶飲料「缶入り煎茶(せんちゃ)」を発売。当時は日本の高度経済成長の煽りを受け、食の欧米化やインスタント化が進んだことで、健康に留意した食事や飲料が関心を集め始めた時期でもあった。
しかし一方で、「お茶はタダで飲めるもの」という考えが一般的で、お金を払ってまで緑茶を飲む時代ではなかった。さらに、煎茶という名前自体「読み方がわからない」という問い合わせが多く、消費者に耳馴染みのない言葉だったことから、なかなかブレイクスルーを生み出せずにいた。
転機となったのは1989年。ネーミングを「缶入り煎茶」から「お~いお茶」へと名称を変えたことだった。
「もっと馴染みやすく、家庭的な飲料として普及させたいという思いから、日常的に親しみのあるネーミングを考えていました。あれこれと考えるなか、当社のCMで当時キャッチコピーで使われていた『お~いお茶』というネーミングに着目した」
ネーミング効果で売上6倍に
「俳優の故・島田正吾さんが『お~いお茶』と和やかに呼びかけるシーンはほのぼのとするようなイメージを印象づけ、『お茶といったら伊藤園』というネームバリューを広めるのに一役買った言葉でした。これをネーミングに採用すれば、より親しみを持ってもらいやすくなると考えたんですね」
「お~いお茶」にネーミングを変えたところ、初年度は缶入り煎茶の頃に比べて約6倍の売上を叩き出した。以来30数年もの間、老若男女問わず多くの消費者に愛され続け、緑茶飲料の中でも圧倒的なシェアを誇る商品へと成長したわけだ。
伊藤園の2020年4月期(第2四半期)決算資料によれば、緑茶飲料市場において伊藤園のシェアは34%にものぼる。また、「最大のナチュラルヘルシーRTD(最新年間売り上げ)」販売実績世界一として2年連続ギネス世界記録に認定されるなど、いまやグローバルでも「お~いお茶」は人気を誇っている。