コロナと“中国の脅威 ”に世界が揺れた2020年。来年もリスクは続く
12月14日、京都の清水寺では1年の世相を表す毎年恒例の「今年の漢字」が発表され、「密」が選ばれた。これについては誰もが納得するだろう。まさに新型コロナウイルスに世界中が振り回された1年だった。今回は2020年の世界情勢を簡単に振り返ってみたい。
コロナで世界情勢に大きな変動が
2020年1月3日、米軍がイラクでイラン革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニー司令官を殺害したことで、米国とイランの軍事的緊張が高まり、一触即発の事態となった。日経平均株価も一時500円安となるなど、日本経済にも大きな動揺が走った。
幸いにも衝突は回避されたが、その直後から新型コロナウイルスが本格的に猛威を振るいはじめ、世界情勢もあっという間にコロナ一色となった。
新型コロナウイルスは安全保障上でも少なからず影響を与え、特にアジア地域の国家間関係を大きく変えることになった。貿易摩擦で悪化していた米中関係はさらに溝が深まり、香港国家安全維持法や印中国境での衝突も影響し、オーストラリアやインドと中国の関係も大きく悪化した。
オーストラリアやインドはこれまでになく米国や日本に接近し、日米豪印の4か国間「クアッド協力」はいっそう加速している。11月半ばに行われた日米印の海上合同軍事演習「マラバール」には、ついにオーストラリアも参加した。
オーストラリア、インドで高まる危機感
これまでインドは、中国への配慮もあり、オーストラリアの参加要請を断ってきたが、具体的な軍事衝突が起きたことで、すでにインドの中国への怒りは頂点に達している。
他方、オーストラリアのスコット・モリソン首相も11月17~18日に日本を訪問。菅義偉首相と会談し、両国関係を安全保障面でいっそう強化していくことで一致した。
背景には、中国で2019年にオーストラリア国籍の作家ヤン・ヘンジュン氏がスパイ容疑で逮捕。同じ年の11月には、香港と台湾、オーストラリアで中国のスパイ活動に関わっていたという王力強氏が、政治的亡命を希望したことがある。モリソン首相は、新型コロナウイルス発生に対する中国共産党の対応に不満を抱いており、両国関係はかなりボルテージが上がっているようだ。