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「タピオカ×選挙に行こう」仕掛け人が語る“女子力への違和感”と新たな挑戦

ビジネス

狭い世界で生きるのに疑問を感じて留学に

ミレニアル

インタビュー取材に応じる辻氏

 セッション終了後、辻氏に起業した背景や社会派クリエイティブというジャンルを確立した経緯、今後の展望について話を聞いた。幼小中高一貫の女子校に通っていた辻氏だが、学校生活での違和感や閉塞感から小学6年の頃には海外の学校に興味を持つようになる。両親を説得して中学・高校と留学生活を送る人生を歩み始めた。

海外ではイギリス、スイス、ニューヨークと渡り歩いたんですが、『普通こうだよね』が通じない世界でした。人種も違えば国籍、文化、宗教などバックボーンの異なる人が1つの寮で生活を共にしていたわけで、多様性は当たり前。ダイバーシティのなかで育ってきたので、ステレオタイプにとらわれず『自分のスタンスを明確にする』『パンクに生きる』といった考え方が身につきました」

 留学生活を送るなか、次第に「自らを表現する」ことへの渇望から、ファッションへのこだわりやウォールアートの制作など、現在の広告クリエイティブの源泉となる創作活動を始めた。

「原宿カルチャーに影響を受けていたので、ファッションや髪型も青文字系雑誌『Zipper』を参考にしていました。また、ウォールアートは海外の書籍や文房具のデザインが参考になりましたね。日本のものと比べて自由度が大きく、ヨーロピアンな独特の色使いや曲線美などがとても印象的で、そのエッセンスをもとに創作活動していました

わずか2週間でインターンから正社員へ

 帰国後は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC)へ進学。大学時代も学内での活動にとどまってはいけないと、インターンの仕事に興味を持ち、“自分の居場所”を探し求めていたという。

「ものづくりが好きなので、最初はアパレルのプレスやデザインの仕事をやってみました。ただ、結局、自分の肌には合わないと思って、1年ほどで辞めてしまって。そのあとに出合ったのが広告制作を行う会社のインターンだったんです」

 企業向けの広告プロモーションを手がける株式会社エードットのインターンとして入社したことが、辻氏にとって大きなターニングポイントとなる。初めはインターンだったが、若者の等身大でリアルな思いを汲んだ視点や斬新なアイディアが気に入られ、入社わずか2週間で正式に社員として抜擢されたのだ。

ミレニアル

2017年にハウステンボスが運営する「お台場ウォーターパーク」にて、SNS映えするウォールアートや空間デザインを手がけたことで、広告クリエイターとして知名度が上がった

 その後、エードットの子会社である株式会社カラスのクリエイティブディレクターに就任。自分の審美眼や価値観をもとに、若者文脈を捉えた広告クリエイティブは大きな話題性を呼び、頭角を現すようになる。

だんだんと私個人の指名で仕事が来るようになったんです。所属先だったカラスの仕事の範疇を超える案件も多くなっていたので、結果的にはエードットから分社化する形で今のarca(箱舟の意)を立ち上げました」

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