「東京証券取引所」はどんな会社?社長が引責辞任したシステム障害も
日本取引所グループ「ホワイト/ブラック度」判定
日本取引所グループ:★★★★☆
本文中にも書きましたが、「終日売買停止」という事実は重いものの、事故報告書を見る限り、リアルタイムで適切な判断ができていることが伺えるものでした。事実、複数メディアにおいて経営陣による記者会見を評価する意見が掲載されています。
また、本連載の性質上、「働く側としてどうか」という観点で過去の不祥事なども調査しましたが、目立った不祥事はありませんでした。JPXの給与水準も高い水準にあり、グループ企業である東証においても同様か、やや少ない程度であると考えられます。待遇面も担保されたうえで、経営陣が有事の際に適切に動ける組織であることは前向きに評価すべきと考えます。
そして、今回のシステム障害における金融庁の業務改善命令では「改善策とその進捗の定期報告」は求められていますが、「役員の退任」までは求められていないように見受けられました。実際の該当部分の文言も「その結果、投資者等の信頼を著しく損なったことを踏まえ、子会社である取引所の管理に係る責任の所在の明確化を図ること」という表現にとどまっています。
経営陣による対応の素早さ・的確さを考慮しても「責任の所在の明確化=引責辞任」という判断は、現場から見ると少々短絡的です。むしろ、SNSで市井の人が言うように 、今回の失敗を踏まえて、適切な改善を着実に行えるように引き続き主導していただいたほうが良いとさえ思います。
そして、この手のシステム障害ではベンダー側(今回は富士通)のみに責任を押し付けるケースが見受けられますが、今回の事故報告書ではJPX(東証)・富士通双方の過失について具体的に記されており、その点でもバランスが良いと思いました。したがって、今回は大きい不祥事を起こした企業としては例外的に、最終的な評価を★4としました。
<TEXT/アラートさん(@blackc_alert)>