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「東京証券取引所」はどんな会社?社長が引責辞任したシステム障害も

ビジネス

 10月1日に東京証券取引所がシステム障害によって終日売買停止になった件は記憶に新しいですよね。11月30日には金融庁からの業務改善命令を受けて、同日付で株式会社東京証券取引所の社長が引責辞任する事態になりました。

東証

東京証券取引所のメインルーム

 本連載「ブラック企業アラート」では東京証券取引所が属する「日本取引所グループ(以下JPX)」について取り上げ、10月1日のトラブルへの評価・企業体質の分析を進めます。

日本取引所グループの事業内容

 まず、「東京証券取引所(東証)」についてはニュースでもよく聞きますが、その親会社の「日本取引所グループ(JPX)」については意外と馴染みがないので、簡単に説明します。

 JPXは東京証券取引所グループと大阪証券取引所が2013年1月に経営統合してできました。東京証券取引所は日本の証券取引所において最大規模です。東京証券取引所で扱っている市場のうち、東証一部に参加するためには時価総額(株価×発行済株式数)や純資産額などの複数の評価軸で最も厳しい条件が必要となり、「東証一部上場=財務的に信頼できる会社」を示す指標にもなっています。

 証券取引所の役割は、ニュースでしばしば取り上げられる「株の取引」以外にも、下記のようなものがあり、取引所の収益はこれらの業務に伴う手数料が主体です。

・取引の監視(相場操縦・インサイダー取引など)
・新規上場企業の審査
・証券取引市場の提供
・価格情報・指数情報の公表

 また、円滑な取引のために取引所の接続サービスとして「arrownet」というネットワークを構築しており、これが今回のシステム障害において重要かつ、中心的な存在となっています。

システム障害「事故報告書」を読んでみた

資料 ビジネス

※イメージです

 今回のシステム障害の大まかな時系列は下記のとおりです。時刻については調査委員会がJPX宛てに提出した「事故報告書」記載の時刻に倣いました。

<不具合発生当日>
10/1 7:37 不具合発生を検知
10/1 8:36 売買停止を取引関係者に通知
10/1 8:54 ロードバランサ遮断により売買停止を実行
10/1 11:00 大手証券、オンライン証券、外資系証券、ベンダーなどへ、注文の再発注の可否ヒアリング実施
10/1 11:45 JPX、「売買の終日停止」を発表
10/1 16:30 JPX、記者会見を実施
10/1 17:00 JPX、「翌日の売買再開」の見通しを公表
10/1 19:25 JPX、「翌日は通常通り売買」と公表
10/1 22:00 故障した機器(NAS1号機のマザーボード)の交換完了
10/2 9:00 東証の売買再開

<当日以降>
10/5 事故原因についてのリリース公表
10/19 業務改善についてのリリース公表
10/23 再発防止検討協議会(第1回)実施
11/30 金融庁からの業務改善命令・引責辞任の公表+記者会見実施

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