お酒を注ぐ時「手の平が上向き」はマナー違反。正しくお酌するには
日本酒の盃が小ぶりの理由
なお、手の平が上にくる「逆手注ぎ」は昔からNGとされています。その昔、切腹する際、介錯の刃を濡らすときの持ち方と同じだからとか、罪人に水を飲ませる持ち方だから、遊女の注ぎ方だからなど、さまざまないわれがあります。
日本酒の盃は小ぶりなものが多いです。これは、お燗で飲むことの多かった頃の名残りで、常に適温を楽しめるようにという理由からです。最近は、冷酒で飲むことが増えていますが、常に冷たい状態で飲むためにも、やはり小ぶり盃のほうが理にかなっています。
ですが、小ぶりの盃だとこまめに注がないといけませんし、常にそればかりを気にしていてはお互いに疲れます。最初の2~3杯を差しつ差されつした後は、「お互い手酌で」と声をかけあって、それぞれが自分のペースで飲むようにしてはどうでしょう。
お酌をするばかりが気づかいではありません。互い気持ちよく飲むことが、なにより大切だからです。
ラベルは汚さないように気をつけよう
ボトルからお酒を注ぐこともあるでしょう。そのときは、ラベルを上側にして注いでください。ラベルはお酒の顔です。デザインも、それぞれ思い入れを持ってつくられていますし、そのお酒に関する情報も記されています。顔である、大切なラベルを汚すのはマナー違反です。
ラベルを下側にしてお酒を注ぐと、口から滴り落ちたお酒でラベルが汚れる可能性もあります。小さなことですが、気配りしたいものです。ボトルには両手を添えて注ぎましょう。
お酒やお茶の注ぎ方に「ソビバビソビ」という言葉があります。漢字では、「鼠尾馬尾鼠尾」と書きます。字のごとく、最初はネズミの尾のように細く繊細に、中盤は馬の尾のように太く勢いよく、そして最後はまたネズミの尾のように細くという意味です。これを意識すると、上手に注ぐことができます。
ビール、ワイン、ジュースにも、「ソビバビソビ」は使えます。ぜひ、試してみてください。
<TEXT/友田晶子>