デマ投稿を、日本のネトウヨアカウントが拡散

　だが、日米ともにトランプ応援団が拡散する「不正の証拠」は、けっこうな割合がフェイクニュースをうのみにしたものだったりする。フェイクニュースは大量にあるが、わかりやすい例をほんの一部挙げてみよう。

●「トランプの票が大量に捨てられた」というフェイク画像
米国のトランプ支持者の投稿を日本人がリツイートし(11月5日）、拡散された。投票用紙が捨てられた4枚の画像のうち、3枚は記入前のもの、1枚は2018年に郵便物が捨てられた画像で、トランプ票とは関係ない。

●「米議会が『バイデン氏は大統領に選ばれてない』と公式声明」というデマ
数万人のフォロワーを持つ日本の保守系政治評論家などがツイートし（11月17日）、「日本のマスコミの皆さん、どうしますかね？」などと挑発した。だが、「議会の公式声明」というのはデマ。共和党の1人の下院議員が、連邦政府一般調達局（GSA）に宛てた手紙に書いただけのことだった。

●「トランプ支持者のデモは100万人」というデマ動画
11月14日に首都ワシントンで、不正投票だと訴えるトランプ支持者、約1万人がデモ行進した。このデモについて、「本当は100万人だったのにマスコミは報じない」とする動画が日本でも拡散。

　だがこの動画は、2019年にカナダのバスケットボールチーム「トロント・ラプターズ」がNBAで初優勝した時の、トロントでのパレード動画だった。また、“ネトウヨ”を自称する自民党の神戸市議も、このデモだとする動画を拡散したが、これは2017年のウイメンズマーチの動画で、無関係だった（市議は削除して謝罪）。

　これらはほんの一部。海外の投稿を、デマと知らずに日本の保守系インフルエンサーなどが拡散し、トランプ応援団が信じるという構図だ。デマを定期的にチェックするサイトは日本語でも複数ある（ファクトチェックイニシアティブ、BBCニュース、ハフポスト、BuzzFeed Japanなど）ので確認してほしい。

日本人のトランプ支持率は、若いほど高い傾向

　では日本人のトランプ支持率は、どんな層なのか？ 11月7日に、毎日新聞と社会調査研究センターが実施した全国世論調査（回答者1040人）によると、「トランプ vs バイデン：どちらが好ましいか」という質問に対して、「若いほどトランプ支持」という傾向がはっきりと出た。

社会調査研究センターのリリースより

　18～29歳は「トランプ47％：バイデン30％」とトランプ派が圧勝。年齢が高いほどトランプ派は減るが、30代・40代もトランプ派が多い。そして50代で逆転し、60代では「トランプ20％：バイデン53％」とバイデン圧勝となる。

社会調査研究センターのリリースより

　同じ調査で、自民党および菅内閣の支持率も、20代が突出して高い。回答者数は少ないが、若い人のほうがトランプ＆菅という現状肯定の傾向があるのかもしれない。