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野口聡一さん宇宙船搭乗へ。宇宙食「からあげクン」開発の苦闘とやりがい

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厳しい宇宙食認定の試験をどうクリアした?

宇宙食

※画像は「ローソン宇宙プロジェクト」公式サイトより

――そのまま食べられる手軽さは大切かもしれませんね! 宇宙食の開発は、認定試験もとても厳しく大変なのだとか……。

金平:宇宙日本食として認定を受けるには、長期間保存できることが大前提となります。宇宙に持って行けるようフリーズドライ化したからあげクンが18か月におよぶ保存試験で品質を保ち続けられるのか、試験を終えるまでわからないことが最も不安な部分でした。

――万が一、クリアできずに再試験となると、認定を受けられる時期がかなり遅れてしまいますし、相当なプレッシャーを感じていたのではないですか。

金平:開発中に非常に困難を感じていた際に、ローソン様のご紹介で宇宙日本食の認定を取得された食品メーカーで開発に携われていた皆様にヒアリングさせていただく機会をいただきました。ご経験を通じての助言や、力強い励ましの言葉をいただいたことが、プロジェクトを進めていくための転機にもなりました。ローソン様と共でなければ成し遂げられなかったチャレンジであったと大変感謝しております!

宇宙に挑んだからこそ得られたもの

宇宙食

スペースからあげクンのパッケージイメージ ©JAXA

――そして厳しい試験を無事にクリアして、2020年6月に宇宙日本食に認定されたわけですね!

金平:まずは、とても安心しましたがそれと同時に、実際に宇宙に持っていくのに向けて製造する緊張感がありました。弊社ニチレイフーズのモットーに「ハミダス(とらわれず、明るく)」という言葉があり、宇宙食化が決まったときは「『ハミダス』の極みだね」と言ってくださる方もいました。

白井:リリース後は思った以上にたくさんのメディアにご紹介いただいたので、社内でもびっくりする人が多かったですね。宇宙飛行士の方々のお話を聞いてプロジェクトを立ち上げてから、3年近くかかっていましたので、「やっとだね、よかったね」という声をかけていただきました。

――社内外で大きな反響があったようですね。スペースからあげクンプロジェクトに携わられて、よかったと思うことは何ですか。

白井:スペースからあげクンが誕生するまでに、JAXA様、ニチレイ様をはじめ本当にたくさんの方とお会いし、話を伺いました。スペースからあげクンがなければ出会うことがなかった大学の先生や国の機関の方々にお会いすることもできました。

それから、宇宙好きな各宇宙食認証企業の担当者同志で集まることもあり、非常に知見が広がりました。宇宙食をきっかけに培った人脈で、地上で展開するプロジェクトにお誘いいただいたこともありました。

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