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野口聡一さん宇宙船搭乗へ。宇宙食「からあげクン」開発の苦闘とやりがい

ビジネス

遠いイメージの宇宙をより身近に

――行動力がスゴい……! 社内の反応はいかがでしたか。

白井:社内では「面白いね!」と言ってくれる人もいましたが、「本当に実現するの……?」という反応も多くありました。遠いイメージがある宇宙をより身近に感じてほしくて、ホームページに専用ページを立ち上げたり、地上で販売する「からあげクン宇宙味」を企画したりしました。

宇宙食

2017年12月に期間限定で販売された、ブラックホール味のからあげクン ※画像は「ローソン宇宙プロジェクト」公式サイトより

――「からあげクン宇宙味」、私も覚えています! どんな味なのだろうと当時は話題になりましたよね。ところで、からあげクンは、冷凍食品のパイオニア ニチレイフーズも参画していると聞いています。

金平佳乃(以下、金平):からあげクンに関しては、ローソン様と弊社のタッグでお客様へお届けしております。私は、何らかの形で「食の専門家になりたい!」と思っていました。それで、保存料を使用せずに長期期間高い品質を保持できる「冷凍技術」を持つニチレイフーズに魅力を感じ、専門性を磨きたいと考え入社しました。

 今は、ニチレイフーズの研究開発部で冷凍食品の技術開発業務を行っています。スペースからあげクンプロジェクトでは、ローソン様の熱意を受けて「からあげクン」を宇宙食にするための技術開発と、認証を受けるための試験や製造の準備を行いました。

「宇宙からあげクン」の製造の秘密とは?

宇宙食

株式会社ニチレイフーズ 研究開発部 金平佳乃さん

――いつもローソンで買うからあげクンとスペースからあげクンとでは、どのような違いがあるのでしょうか。

金平:地上で食べる「からあげクン」は、冷凍でローソン様の店舗に届いた後、フライしてお客様に提供されますが、ISSでは、調理前は冷凍、調理後はホットケースに入れるといった長期間の保存ができません。

 そのため当初は、レトルト食品化やフリーズドライしたものをカップラーメンのようにお湯戻ししていただくという案もありました。試しに、からあげクンをレトルトにしてみると、焦げ臭いような味のする全く別の食べ物になってしまいました。フリーズドライのほうはと言うと、お湯戻しにすると、衣が先に水分を吸って柔らかくなり、揚げ物の良さが伝えにくいことが分かりました。

 最終的に、スナックのようにそのまま食べていただく形が、からあげクンの世界観を最も表現できるということを、ローソン様、JAXA様とも認証過程で確認し、最終的にこの形となりました。

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