進化する特殊詐欺の手口10種類。カードや女性紹介も詐欺のツールに
「受け子」の登場は衝撃だった
特殊詐欺は進化の過程で大きなパラダイムチェンジを2回しました。そのひとつが「受け子」という存在を使っての詐欺です。
「『振り込め』と言われたら、詐欺!」との注意が徹底されて、ATMからの振り込みが難しくなりました。しかも、詐欺に使われた口座だとわかると、すぐに凍結されます。すると、詐欺犯は直接家を訪れてお金を受け取るようになります。
今では当たり前の手口でも、出てきた当時は衝撃的でした。
というのも、それまでの詐欺は、電話でやりとりして、ATMから入金させるという詐欺犯とは対面しない形だったからです。ところが、「受け子」が家にやってくることで、被害者は詐欺犯と対面します。つまり、ここで非対面から対面式へのパラダイムチェンジが起きたのです。
キャッシュカードが狙われるように
もうひとつは、キャッシュカードを騙し取る手口の登場です。
詐欺犯がATMを使わず、受け子を家に向かわせる形が主流になると、注意喚起も変わります。「お金の言葉が出てきたら、詐欺!」との警戒が呼び掛けられます。すると詐欺犯らも知恵を回して、被害者にお金は用意させずにキャッシュカードを騙しとり始めたのです。
手口は次のようなものです。詐欺犯が警察官を装い、電話を掛けます。
「もしもし、〇〇警察書の山田という者ですが、Aさんのお電話でお間違いなかったでしょうか? 実は、詐欺グループを逮捕したところ、あなたの口座が、犯人に悪用されていることがわかりました。このままだと、あなた自身も詐欺犯の一員とみなされて、逮捕されてしまいます。今から警察官が自宅に伺い、キャッシュカードを不正使用されないように手続きをしますので、お手もとにカードを準備してお待ちください」
そして被害者宅にスーツを着た刑事風の人物が来て、「キャッシュカードの不正防止の手続きで伺いました」と言いつつ、家人に「封筒」と「一枚の紙」を手渡します。