ニトリに買収されるホームセンター「島忠」の侮れない実力
島忠従業員の年間平均給与は496万円
では、現場の雰囲気や働きやすさはどのようになっているのでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・ニュースなどからその姿に迫っていければと思います。
まず給与水準については「有価証券報告書」に記載されています。島忠の平均の年間給与は496万円(平均年齢36.1歳)でした(2019年8月31日現在)。この値は1,559名の全従業員を対象にした値です。参考として、今回議論の対象になっている4企業について同様に平均の年間給与を調べてみました。
島忠:496万円(平均36.1歳、同上)
ニトリホールディングス:851万円(平均42.7歳、持ち株会社、2020年2月20日現在)
DCMホールディングス:709万円(平均42.2歳、持ち株会社、2020年2月29日現在)
カインズ:非上場のため、公式サイトでの開示なし
ニトリ・DCMについては有価証券報告書でわかるのが持株会社の分のみなので、非連結の単一の事業会社である島忠とは同じ状況の比較にはなりませんが、参考値として掲載しました。日本全体の平均年収が436万円(令和元年分民間給与実態統計調査結果より)であることを考えると、島忠の給与水準も低いほうではないように思います。
また、労働関連を中心に、大きな不祥事が無いか調べてみましたが、島忠については大きな不祥事は見つかりませんでした。
1点だけ、2009年6月に公正取引委員会から排除措置命令を受けた件についてご紹介します。これは、当時の島忠が納品業者に対して、
・店舗の閉店または改装に際して商品の不当な返品
・家具商品部の定番外れ又は店舗の閉店に当たり商品の不当な値引き
・店舗の開店・改装又は閉店に際して納入業者の従業員等の不当な使用
という行為があったことを公正取引委員会が認定し、取りやめるように島忠に命令を出したものです。
これ以降、同様の件での排除措置命令は受けていないようなので、改善しているように見受けられます。また、働き方改革についても、時系列で実施施策を公表しているので、現場としては比較的働きやすい体制になっていると考えられるでしょう。
島忠「ホワイト/ブラック度」判定
島忠:★★★★☆
島忠については、改めて数値をみたところ「急拡大を志向せず、堅実」という特徴が浮かび上がってきました。先述した自社所有物件を重視する姿勢も「堅実」と評価できるのですが、店舗数推移についても同様でした。
通常は小売り系の企業を分析する時には、店舗数拡大を方針に掲げる企業が多いことから、店舗数推移についても相応に言及するのですが、島忠の場合は早々に拡大戦略をやめ、蔦屋書店と提携した店舗リニューアルに代表される業態転換を進めていため、本編では買収劇の説明と、ホームセンターとしては珍しい特徴(物件の自社所有)に優先的に字幅を割くことにしました。
島忠の給与水準が比較的高いこと、業績が安定していること、過去に不祥事があったものの、現在は改善がみられることを踏まえて、最終的な評価は★4としました。
<TEXT/アラートさん(@blackc_alert)>