中国・習近平主席の、強気な対米発言を読み解く。武力行使も辞さない構え
アメリカ合衆国のマーク・エスパー国防長官は10月20日、中国に対峙していくうえで、自由や民主主義など同じ価値観を共有する国々との同盟関係をさらに強化・拡大していくとの姿勢を明らかにした。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、米中対立はこれまでになく悪化しており、最近ではインドやオーストラリアが米国に積極的に接近する姿勢を示すなど、インド太平洋地域では中国けん制を目的とした多国間協力が進んでいる。
米国との対決姿勢が鮮明に
エスパー国防長官は中国が債務の罠(債権国側から政策や外交、インフラ運営が拘束を受ける状態)によって、ASEANのミャンマーやカンボジア、ラオスなどと関係を強化していると不信感を示し、日米豪印のクアッドに加え、インドネシアやベトナム、フィリピンなどとの関係を強化する姿勢も示した。
そういった状況のなか、中国の習近平国家主席は、最近の発言の中で、これまで以上に米国との対決姿勢を鮮明にしている。最近の習近平氏の発言を簡単に振り返ってみたい。
例えば10月23日、北京で開催された中国軍の朝鮮戦争参戦70周年を記念する式典の席で演説では「中国は米国からの圧力に屈することはない」「台湾の独立的・分裂的な動きに対しては絶対に容認しない」「(トランプ政権)の一国主義や保護主義、中国包囲網的な動きは通用しない」など、武力行使も辞さない姿勢を改めて強調し、“抗米援朝”という言葉を繰り返し使った。
抗米援朝は文字通り、米国に対抗して北朝鮮を支援するという意味だが、海洋覇権や貿易摩擦、ハイテク覇権などで米国に負けないという姿勢に加えて、朝鮮半島を巡る情勢でも「自由にはさせない」という意思を感じる。
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