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借金450万円をホスト業で完済した大学生が「売れっ子ホスト」から学んだ仕事術

学び

お客様のためになるときだけ怒りなさい

実家が全焼したサノ氏

 次に売れっ子ホストの先輩が教えてくれたのは、「お客様のためになるときだけ怒りなさい」ということでした。

「ドタキャンしたり、ツケを払わなかったりする人はいるし、そんな人は最低だって俺も思ってるけど、本人だって悪いことは自覚してるんだよ。それを指摘しても、心は離れていくだけ。たとえば、お客様のことを思って、『ツケを払わないと信頼を失うよ』と言ったところで、それは結局俺たちのためでしかないんだよ。だから俺たちが怒っていいのは、利害関係のない、本当にお客様のためになるときだけ。

 たとえば、ツケを払わなければ信頼を失うと、本当にお客様のために思ってるんだとしたら、自分がツケを滞納されたときじゃなくて、お客様が他店のホストにツケを滞納したときに、指摘してあげな。そうすれば『この人は、自分の利益を度外視してでも、私のためを思って言ってくれてるんだ』って信頼してもらえるから

 売れっ子ホストにそう言われて、僕は今まで、「あなたのため」という言葉を、何度「僕のため」に使っただろうと考えました。「売れっ子ホスト」のアドバイスはとても勉強になりました。僕は「売れっ子ホスト」の言葉だけでなく、行動も観察するようになりました。

売れっ子ホストの驚きの習慣

「売れっ子ホスト」は、ホストという仕事に対してとてもストイックでした。ある日営業が終わって、店内で仮眠している「売れっ子ホスト」がいました。ソファに横たわっている売れっ子ホストのおでこを見ると、その上には携帯電話が乗せてありました。どういうことだろう? と疑問に思ってしばらく見ていると、その売れっ子ホストは携帯が振動するたびに起きて、お客様にメールを返信して、また仮眠をしていたのです。

 後日そのホストに話を聞くと、もう何年もそういう生活をしているようでした。他の売れっ子ホストも、形は多少違えど、みんなホストという職業に夢中になっていました。そして、ホストクラブにいらっしゃるお客様は、そんなホストの夢中な姿に惹かれていくのかもしれません。僕も、夢中になって働こうと思いました。

 お昼は学校、夜はホストクラブで働き、空いている時間は当時流行していた「モバゲー」というSNSで集客し、寝る間を惜しんで働きました。
すると、入店してから1か月で「新人王」のタイトルを獲得することができました。

実家が全焼したらインフルエンサーになりました

実家が全焼したらインフルエンサーになりました

昨日までの「切なさ」は、今日を生きるための「優しさ」へ。新橋で働くサラリーマン・実家が全焼したサノがインフルエンサーになるまでの軌跡を描いた、初のエッセイ集

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