「20代は視座を10倍高く」不動産ポータルLIFULL社長の働き方
不動産ポータルサイトは「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」をはじめ、「SUUMO(スーモ)」、「athome(アットホーム)」などが知られているが、他社に先んじて不動産ポータルサイトを立ち上げ、いわば「物件情報のインフラ」として市場を牽引してきたのがライフルホームズだ。
同サイトの運営のほか、さまざまな領域でサービスを展開する株式会社LIFULL(ライフル)の代表取締役・井上高志社長に経営戦略や、今後の事業展望について話を聞いた。
起業のきっかけは大学時代の苦い経験
高校の頃から、ぼんやりと起業しようと思っていたという井上社長は、大学時代の2つの出来事が原因で「将来絶対に起業して大成したい」と考えるようになったという。
「大学4年の時、当時付き合っていた彼女に『ニューヨークでニュースキャスターになりたい』という理由でフラれたんです(笑)。当時の自分は目標もなく、ただ漠然と過ごしていたのですが、対照的に、彼女は夢を持っていて希望に満ち溢れていたんです。すごいギャップを感じちゃいましたね」
さらに同時期の就職活動でも、井上社長の“いい加減な人生”が炙り出され、悔しい思いをしたという。
「就活でベンチャー企業を受けたんです。当時はバブル景気だったので、大手企業であれば流れ作業のように受け答えしていれば採用された時代ですが、ベンチャー企業は別。学力だけでなく、人間性やポテンシャルまで厳しく吟味されて。結果、志望先には願い叶わず落とされました。これがショックで、もう2度同じ想いはしたくないと決心し、『5年後に必ず起業して、人生一発逆転してやる』と腹を括りました」
結果、井上社長は1991年にリクルートコスモス(現・コスモスイニシア)に入社。バブル崩壊の波にのまれ、3か月後に親会社のリクルートへ出向・転籍を命じられるが、求人営業では早々にトップセールスとなり頭角を現す。
月600時間×500日の超ハードワーク
そして、新卒から5年目でリクルートをやめて個人事業主に。26歳だった。学生時代に掲げた独立という目標を果たしたものの、やっとスタートラインに立ったに過ぎない。
「一大事業へと成長させるにはどうすればいいのか。自分には何ができるのか」と、考えながら、来る日も来る日も仕事に明け暮れた。
「黎明期は1か月で600時間働いていました(笑)。1日に換算すれば20時間。それを約500日近くノンストップで続けましたね。休みは年末の大晦日に半日とるかどうか。なぜここまで仕事に打ち込むのかというと、『世界中、これだけ本気になって不動産物件のデータベース化を目指す奴はいないと言えるくらい、やれることは全てやる』と思っていたから。
当時インターネットを知る人は100人に2人くらいだったから、中途半端にやって後悔だけはしたくなかったんです。思いつく限りのことを試して、それでも事業が立ち上がらなかったらそれまでだ、諦めがつくと、とにかく本気で取り組みました」