なぜ34年も売れ続けるのか。野球ゲーム「ファミスタ」開発秘話
「200kmストレート」演出の裏側
そんな中、ファミスタが野球ゲームの王道として不動のポジションを築き上げた理由のひとつに「200kmのストレートや、炎をまとった魔球といったド派手なエフェクトや演出」が挙げられる。
「とんでも野球というか、馬鹿っぽいというか(笑)。ファミスタなら、ド派手な演出が許されるみたいな文化があるんですよ。ある種、『ぶっ飛んだゲーム』として認知されているからこそ、新作を出すときは期待に応えようと演出にもこだわりますね。
今作のファミスタ2020では、『宇宙人から地球を守るために試合をする』というSF的な要素を取り入れたRPG仕立てのストーリーモードがあります。挑戦できるところは、どんどん新しいことをやっていく。こうした気概をもったプロデュースを心がけています」
野球アクションゲームとしての立ち位置
ファミスタは「スポーツゲームではなく、野球アクションゲーム」と自らを位置付けている。森口氏は「ターゲットとなるユーザーの気持ちに立ってゲームを開発する」ことが、機能追加やモード作りをする際に重要だと話す。
「ファミスタのコアターゲットは、38歳から46歳くらいまでの初代ファミスタユーザーと小学生です。『ファミスタ2020』では親子世代に訴求できるゲーム作りを目指しました。ちょっと現実離れしたような演出を加えることで“ゲームらしく”なり、エンタメとして届けられればと考えています」
野球用語に「打高投低」という言葉がある。ピッチャーよりもバッター有利の状況のことを指し、打率やホームランの数が多く出るような試合展開でよく使われる。ファミスタも、打高投低を意識してゲーム作りをしているという。