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自然とケガを防ぐ走り方に。アシックスが開発「スマートシューズ」とは

ビジネス

ランニングに関する意識はコロナ禍で変化

アシックス

※アシックスより

 アシックスが行なった世界12か国を対象とするグローバルランニング調査(2020年4月1日~5月31日に実施)では、1万4000人の回答者のうち4分の3近くが「ランニングやエクササイズを習慣化して続けたい」とし、3分の1以上が「(コロナ流行前より)活発にエクササイズをしている」という。さらに回答者の3分の2がコロナ禍において「問題に対処する際に運動が精神面で役立った」とするデータが出ている。

 そんななかアシックスはランナー同士の繋がりを促進する試みとして「#RunToFeel」を掲げている。「ランニングを通じて得られるもの」や「走っていてよかったこと」などをSNSでハッシュタグをつけ、世界中のランナーがランニングに対する想いを共有できる取り組みだ。

 原野氏は「リアルからバーチャルにシフトしたことで、ランニング文化の可能性が広がった」と分析する。

「マラソン大会がリアルでやりづらくなっているなか、デジタル技術を使ったバーチャルレースに切り替えるチャレンジも増えています。また、世の中で注目されている“ワーケーション”に関しても『旅先で気持ちよく走ってみたい』というニーズは必ずある。旅行事業者と組んで、新しいランニング体験を提供するといったことも視野に入れつつ、ランナーに価値提供できるよう尽力していきたいですね」

アシックスの未来を担うスマートシューズ

アシックス

スマートシューズ「EVORIDE ORPHE(エボライド オルフェ)」

 健康志向が高まるなか、アシックスが経営戦略としてランニング×デジタルテクノロジーに注力する理由は何なのか。

「中期経営計画のASICS Growth Plan(AGP)2020では、『差別化されたイノベーションの創出』『デジタルを通じたスポーツライフの充実』をコア戦略に掲げています。各メーカーのランニングシューズの性能が拮抗しているなか、今までにない新しい価値や体験を提供する必要があったんです。今回発表したスタートアップ企業のno new folk studioとの共同開発によるスマートシューズ『EVORIDE ORPHE(エボライド オルフェ)』は、まさにランニング×デジタルテクノロジーを目指す上でのスタートラインでした」

 腕時計や家電といった商品ジャンルでは、IoTが出てきているが、シューズにおいてはまだそれほど普及していない。

「スマートシューズでは、これまではマーケティングや商品開発に生かしていたデータを、ユーザーとなるランナーへ還元する仕組みとして提供しています。『履いて、走る』だけでランニング中の足運びをセンシングし、独自のアルゴリズムによって『走り方を見える化』。ランナー個人に合ったアドバイスができます。さながらシューズがパーソナルコーチの役割を果たす、新しいユーザー体験の創出が可能となったわけです

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