潘めぐみ、初めて“声優業”を意識した瞬間「テレビからの母の声が」
2011年にテレビアニメ『HUNTER×HUNTER』の主人公ゴン=フリークスに抜擢されて、声優デビューを飾り、そこから第一線で活躍を続けている潘めぐみさん(31)。現在、ボイスキャストに名を連ねる、咲坂伊緒さん原作のアニメ映画『思い、思われ、ふり、ふられ』が公開中です。
高校生4人(声:潘めぐみ、島崎信長、斉藤壮馬、鈴木毬花)の青春を描いた本作で、複雑な家庭環境にありながら、強く生きるヒロイン朱里を演じた潘さんに、本作の魅力に始まり、大作の主演でデビューした当時のこと、同じく声優であるお母さま(潘恵子)からの影響、声優業への思いを直撃しました(※島崎は正式には「たつさき」)。
少女漫画だけれど、とてもリアルな作品
――作品全体にどんな魅力を感じましたか?
潘めぐみ(以下、潘):少女漫画と言われると、恋愛要素が前に出てくるイメージがあると思うんです。でもこの作品は、ダブルヒロインで、そのふたりの出会いから物語が始まる。恋に落ちるところからではなく、友達になっていくふたりが出会うところが入口だということが、まず新鮮でした。
それからお互い好きな人ができていく。恋愛要素もとても魅力的ですが、家族や友人という自分を取り巻く環境に影響を受けながら、新しい自分になっていく葛藤や成長がリアルに描かれている作品だと感じました。
――朱里の頑張る姿に、もう少し肩の力を抜いてと声をかけたくなりました。朱里を演じるにあたって、どんなところを軸にしましたか?
潘:朱里の行動原理には、常に自分以外の誰かがいるんです。誰かのことを思ったうえで行動している。だけどそれが必ずしも相手にプラスになるとは限らず、傷つけてしまうこともある。でも、彼女としての正義、思いやりを持って動いているということをブレずにいたいと思いました。
未経験である瞬間が、実は最強
――朱里の親友になる由奈の声をあてた鈴木毬花さんは、オーディションで抜擢され、本作がデビュー作です。潘さんも声優としてのデビューを、オーディションで果たしました(『HUNTER×HUNTER』ゴン=フリークス役)。重なる部分があったのでは?
潘:確かにそうですね。「大好きな作品が来てしまった~!」っていう(笑)。毬花ちゃんを見ていて、何も経験がないことの強さを感じました。未経験って一見、頼りなく思えたり、自分自身でも「もっと経験があったうえでこの役をやりたかった」という瞬間もあるのですが、でも実は最強だったりもするんですよね。
当時の自分は余裕がなさ過ぎて、とにかく一生懸命でしかありませんでしたが、経験がないなりにこの仕事をまっとうしようと立っている。あのときの自分も諸先輩方からたくさんの経験を学ばせていただきましたが、その有難みにも改めて気づかされました。