「手取り15万円で十分」な28歳、実家暮らしで倉庫作業を続ける理由
資格やスキルがないと在宅は厳しい
白根さんは中学時代に同級生からひどいいじめに遭い、以来不登校に。高校こそ通信制の学校をなんとか卒業しましたが、その後、進学した大学ではキャンパスにほとんど通うことができずに中退してしまいます。
「そのままだとニート一直線じゃないですか。実際、しばらくそうだった時期もありますしね。かといって普通のサラリーマンみたいに働くのはメンタル的に難しいし、かいって在宅で稼ぐのも大変です。ウェブライターのアルバイトをやった時期もありますが、月3~4万円稼ぐのがやっと。とてもじゃないですが専業にはできません。
これといった資格もスキルもない僕のような人間はやはり外に働きに出るしかなく、今の倉庫の仕事をする前はポスティングや交通量調査などのアルバイトを掛け持ちしたりしていました」
現在の仕事は2人体制のため、常に誰かとコンビを組む形になるそうですが、「必要以上に干渉してくる方はいませんし、その距離感が自分にとっても居心地がいい」と言います。
親には迷惑をかけられない
「いつも一緒に組む相手が何人かいるのですが2人で巡回するわけでもないですし、管理人室では基本的にお互い無言。変に話しかけられるほうが困るので助かります。決して高給取りじゃないですけど、こんな仕事でも月に15万円はもらえる。これだけあれば大人ひとり暮らしていくことはできますから」
現在は実家マンションに住んでいますが、将来的に両親はケアマンションに引っ越す意思を示しているとのこと。白根さんも10代のころから両親には迷惑をかけっ放しだったため、安心させるためにも自立した姿を見せたかったそうです。
「将来、誰かと結婚して孫の顔を両親に見せることは叶わないと思いますし、そこはすでに両親には謝っています。けど、ニートや引きこもりの息子が年金暮らしの両親に迷惑をかけて……ということになるのだけは絶対に避けたかった。
幸いなことに今住んでいる実家のマンションは僕が相続できますし、中古でも立地がいいことからあまり値崩れしていません。そのため、住み続けることもできますし、手放して、新たに安い家を買うか借りることもできます。そのおかげで自分の中では保険というか少し余裕に構えることができるんだと思います」