アマゾン創業者が祖母を泣かせた失敗に学ぶ「人を動かす言葉」
失敗談こそ人を動かす「4つのF」
あなたがふだんしているビジネスプレゼンを考えてみましょう。
「わが社の製品がどれほど素晴らしいものか」
「わが社はどれほどグローバルに活躍し成功している会社か」
そうやって「成功話」にフォーカスしていませんか? もちろんビジネスでは、自社や自社商品・サービスを売り込むため、相手が獲得する「ベネフィット」にフォーカスする必要があります。しかし、相手を「その気」にさせるためには、「いかに良いか」だけにフォーカスしていては成功しないのです。
聞き手が苦労しているような課題や問題意識を察知し、いかに自分たちもその苦労を経験してきたか、そこからどんな失敗やフラストレーションを経て解決策を見いだしてきたのか、そこを語ることで「この人は/この会社は、われわれの苦労をわかってくれる」と共感し、人の心が動くものです。
いかなるストーリーにおいても「4つのF」のいずれかの要素を組み込んでいくのが大切です。4つのFとは次のとおりです。
① Failures(失敗、過ち)
② Flaws(欠点)
③ Frustrations(フラストレーション、不満、苦悩)
④ Firsts(初めての体験)
誰にも語れない“あなただけのストーリー”を
プレゼンテーションというのは、人と人との心のつながりを作るものです。心を動かさない単なる情報提供なら、資料を配布して読んでもらえばよいのです。
わざわざ「人」が「人」に向かって、「ことば」というアナログな方法でコミュニケーションするのは、心のつながりを求めるからです。そして人は、お互い何かが足らないからこそ惹かれ合うものです。
大成功を収めて完璧なように見える人の話は、自分とは遠い存在としてしか見えません。けれども、先の4つのFのような失敗談を聞くと、親近感が湧き、「自分にもできるかも」「それをやってみよう」と思うようになるものです。
以上、伝えるべきことを20字にまとめ、そのストーリーに4つのFを入れ込むことで、聞き手は動かされていきます。そうしたあなた自身の経験から、エピソードを取捨選択してストーリーを作り上げた時、誰にも語れない“あなただけのストーリー(ことば)”になるのです。
<TEXT/リップシャッツ信元夏代>