「お~い、お茶」は別の商品名だった?売上急増させるネーミングの法則
同じビジネススキルの持ち主でも、企画書(文章)の書き方、企画提案時の伝え方の違いで、相手の反応が異なることがあります。伝え方の違いは、上司や取引先の評価にも繋がります。
結果と共感を生み出す文章術のコツを、『稼ぐ人の「超速」文章術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者である中野巧さんに聞きました。
※『稼ぐ人の「超速」文章術』(中野巧・著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)より加筆修正
ネーミングで売上が激増した3つの事例
キャッチコピーの最高峰は「ネーミング」ではないでしょうか? コンビニでは、毎年約5000点もの新商品が発売されるそうです。すべての商品をそのまま売り続けたら、あっという間にコンビニは商品で溢れかえってしまいます。しかし、実際には各店舗に平均して、常時3000点の商品しか置かれていないことを考えると、まったく数字が合いません。
実は、新商品のうちのほとんどが、2週間ほどで棚から消えてしまのです。その理由は、さまざまですが、熾烈な生き残り競争を勝ち抜く一番の要因は「ネーミング」だと言われています。
ネーミングを変えることでヒットした商品は、いくつもあります。
■「お~い、お茶」
有名な事例としては「お~い、お茶」。1984年に伊藤園が発売した、世界初の缶入り緑茶です。「お~い、お茶」になる前の名前をご存知でしょうか? そうなんです。実は、ネーミングを変更しているんです。
変更前のネーミングは……「缶入り煎茶」。
開発におよそ10年かけて発売したものの、残念ながら、「缶入り煎茶」はヒットしませんでした。その後、「お~い、お茶」にネーミングが変更されると、初年度の売上高は「缶入り煎茶」初年度の6倍強になる大ヒット。今では緑茶飲料の圧倒的シェアを獲得しています。
■「通勤快足」
1981年に、レナウンから発売された「フレッシュライフ」。いったい何の商品かわかりますか? 紳士用の抗菌防臭靴下なのですが、ネーミングを変更してから、売上げはなんと! 34倍になりました。
そのネーミングとは……「通勤快足」。通勤「快速」をもじって、通勤「快足」としたのです。誰がどのように使うのか? また、通勤が快適になるというイメージが一瞬で広がる、たった4文字の優れたネーミングです。
■「鼻セレブ」
1996年に、王子ネピアから、発売された「モイスチャーティッシュ」。特に、花粉症の時期には、大変重宝する保湿ティシュです。こちらのネーミングを高級イメージに切り替えようと「鼻セレブ」に改名したとたん、売上げは前年比3割アップ。最終的には、4倍にもなったそうです。
刺さるネーミングの7つのポイント
売れるか、売れないか、口コミされるかされないか、長く愛されるかされないかにネーミングは大きく影響します。そして、すべての要素をギュ――ッとひと言に結晶化していくだけに、ネーミングはとても奥深いです。
私が、ネーミングを“チェック”するときには、以下の7つの項目を考えます。
1. 商品内容がわかりやすいか?(直感的にわかるか?)
2. 口に出しやすいか?(発音してみて語感がよいか、人に言いたくなるか?)
3. 機能や効果を想起しやすいか?
4. 共感・親しみがわくか?
5. 省略しやすいか?
6. コンセプトを表しているか?
7. 記憶に残りやすいか?(忘れないか、すぐ思い出せるか)
リアルな事例があると記憶に残りますので、ネーミング例を交えながら、それぞれ解説していきます。