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進化した人類は3メートル級!?「スケルトニクス」が夢見る未来の世界

ビジネス

未来のスケルトニクスの姿とは?

スケルトニクス3

プロの操縦者がスケルトニクスのダイナミックな動きを実演。操縦者の身体には機体の重量と拡大率に比例した負荷がかかる。

――阿嘉さんは「スケルトニクスの未来の姿」をどのようにイメージしていますか?

阿嘉:スケルトニクスの最終的な姿のイメージとして僕が持っているのは、先ほども例えに出しましたが、現在の「F1」の姿です。

――F1と言いますと?

阿嘉:F1マシンって、こう言ったら怒られるかもしれないですけど「娯楽」なわけじゃないですか。

 F1の大会があって、お客さんがいて、プロのドライバーがいて。でも、そのために巨大な企業がお金と技術と時間をつぎ込んで正攻法のマシンを作るわけですよね。その過程のなかで、結果的に突き抜けた技術が誕生したり、新しいノウハウが生まれたりする。

 その一部の技術が大衆車として一般人向けに展開されたりしますよね。だから僕らも、まずはF1マシンのような突き抜けたフラッグシップモデルを作りたいです。

 そこから見た眺めで、次に何をするべきかわかるだろうと思っています。F1のように産業的な分野に還元することが可能なのか? もし、可能であるならばどう言ったアプローチなのかっていうのはそういう高い視点から眺めることによってよりドラスティックなアイディアに到達できると考えています。

――ということは、スケルトニクスも将来的に一般の人の娯楽の中に入って行くことができるのでしょうか?

阿嘉:スケルトニクスにとってのF1大会ってなんだろう、ということですよね。僕はエクストリームスポーツがしたいなと考えています(笑)。 

 例えばスノーモービルやモトクロスのオフロード部門、F1のようなオンロード部門があるなかで、スケルトニクスを含むような外骨格部門があるようなイメージです。

――確かに、それは面白そうです!

阿嘉:そのために、まずはエクストリームな動きができるようなスペックのものを作りたいですね。人々が夢中になるようなものを作り、多くの人と興奮を分かち合いたいです。

組織でイレギュラーなことをしても「意外と大丈夫」

阿嘉社長2

――最後に、20代の読者に向けて、高専のロボコン時代からチームを率いて、今では会社を経営してという阿嘉さんの経験から言える、何かに挑戦する際のアドバイスはありますか?

阿嘉:えっと、「意外と大丈夫」ということを伝えたいですね。

 組織の中で新しいことや、大きなことをやってのけたいと思うなら、日頃からちょっと変なことをしておくことかな。小さなイレギュラーを積み重ねて行くと、「この組織ではこれくらいのことしても多分大丈夫なのか」ということがわかるし、周りも「〇〇さんだったら仕方ないね」みたいな雰囲気になってくる(笑)。

 僕、学生時代から組織の中でイレギュラーなことをするのにやり慣れているんです。やり慣れていない人たちっていうのは、そういうイレギュラーなことに対して抵抗感がある、怖いじゃないですか。でも、やってみると意外と大したことないんですよ。

 別にいきなりイレギュラーなことをしろとは言わないですけど、本当は自分が正しいと思っていること、やってみたいと思っていることをちょっとずつ試していくと良いと思います。

<取材・文・撮影/尾身宗一郎>

プロフィール

【阿嘉倫大】
1989年沖縄県生まれ。2005年に沖縄高専機械システム工学科の2期生として入学。高専ロボコンの2008年大会にて優勝を果たした。2010年夏、高専の仲間とスケルトニクス開発をスタート。2013年にスケルトニクス株式会社を設立。現在は同社の代表取締役CEOを務める。

フリーライター。大学院を卒業後、大手メディア会社にてメディア運営やアドネットワーク運用などを担当。趣味は車。個人ブログ「bluexlab」を運営。

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