石田ニコルが明かす、芸能界の恩人「カメラ裏で涙をためてくださって」
芝居の楽しさを教えてくれた“恩人”
――キャリアも10年を超えました。そうした出会いの中で特に印象に残っている人、出来事はありますか?
石田:ユースケ・サンタマリアさんとお仕事したときですかね。『悦ちゃん〜昭和駄目パパ恋物語〜』(NHK 、’17年)というドラマで、すさまじく長いセリフがあったんです。私がユースケさんに愛の告白をするシーンだったんですけど、撮影に入ってまだ間もなく、人見知りもあってすごく緊張していました。
そんなときユースケさんが「大丈夫だよ、ニコルちゃん、大丈夫だから」と、ずっと声をかけていてくださったんです。撮影のときも、実際にはユースケさんはカメラに映らないのに、カメラの裏にいて、すごくうなずいて涙をためて、私の演技をひと言、ひと言聞いてくださっていた。
――ステキなエピソードですね。
石田:ユースケさんのおかげで、セリフじゃなくて、本当の言葉として口に出せました。今でもあのシーンのことははっきりと覚えています。本当に素晴らしい人だと思いましたし、セリフではないお芝居のやりとりを「あぁ、こういうことなんだ」と実感できました。そして一緒に作品を作っていく共演者の大切さを知りました。これからもそのときの気持ちを忘れずにお仕事をしていきたいと思っています。
<取材・文・撮影/望月ふみ>