bizSPA!

米中対立が、後戻りできない状況に…“戦争”はありえるか?

ビジネス

 経済・貿易を主戦場とする米中対立は、現在、外交の世界にも踏み込もうとしている。中国政府は7月27日、四川省成都にある米国領事館を閉鎖したと発表した。

米国領事館

Consulate General of the United States in Chengdu closed. © Monkeyparty420

 一方、米国はスパイ行為や知的財産侵害の拠点になっているとして、南部テキサス州ヒューストンにある中国領事館を7月24日までに閉鎖した。中国の措置はこれに対する報復とみられる。とうとう外交の世界にまで踏み込んだ米中対立は今後どうなるのか。

主要国との関係が悪化する中国

 コロナ禍が起きてからというもの、中国は香港に国家安全維持法を導入するだけでなく、南シナ海や東シナ海、そしてインドやブータンとの国境などでの覇権的行動を加速化させ、主要国との関係が急激に悪化している。特に、インドやオーストラリアは「もう我慢できないぞ!」という態度で日米へ接近している。

 尖閣諸島については以前の記事で取り上げた。100日以上連続で中国海警局の船が確認され、最近は日本に自らの領海に立ち入らないよう要求するなど、これまでにない踏み込んだ要求をした。

 このまま尖閣諸島での野心的活動が続くならば、いつかは偶発的な衝突が発生し、軍事衝突に発展する恐れもある

中国の軍事力は、米国にはるかに及ばない

中国 海軍

※画像はイメージです

 中国海警局と軍との一体化が進んでいるとみられるなか、他国の船が中国漁船と衝突すれば、海警の巡視船そして軍艦が絡んでくるという形で、中国は平時有事を融合させた海洋覇権行動をいっそう進めてくる恐れがある。

 そういったシナリオは日本の防衛省や海上保安庁も想定しているだろうが、沖縄の美ら海は政治的には世界一危険な海になる恐れもある。

 一方、米中が東シナ海や南シナ海で大規模な軍事衝突を長期にわたって繰り広げる、いわゆる一般市民が思い浮かべる戦争へと発展する可能性は低い。現状では中国の軍事力は米国のそれにはるかに及ばず、必要以上のダメージは双方とも被りたくないのが本音だろう

12

おすすめ記事