「地ビールレストランで大失敗」獺祭4代目社長に聞く、逆境を乗り越える力
YouTube配信、オンラインイベントを企画
世界中を襲った新型コロナウイルス禍でも、「逆境経営」のピンチをチャンスに変える精神は生きているという。
「新型コロナの影響で出荷量が落ち、売上も落ち込みました。しかし一方で、日本酒の製造現場に余裕ができたため、新しい試みとして『クラフト獺祭』を始めています。これは、若手社員がペアとなって、獺祭の持つ美味しさを自分なりに解釈し、主体的に酒造りへ取り組んでもらっています。
改めて『自分たちの造る獺祭の美味しさとは何か』を真剣に考えるきっかけを与えることで、より美味しい獺祭を生み出すための技量が備わってくる。今はお客様のためになることなら何でもやってみて、YouTube配信、世界をつないでのオンラインイベントなどを企画しています」
医療機関や飲食店に向けた取り組み
それ以外にも日本酒業界を救済するさまざまな取り組みを積極的に行っている。まず獺祭のお酒造りにも使われる原料米「山田錦」の生産者を助けるため、食用・山田錦を販売。さらに山田錦を発酵・蒸留したエタノール消毒液を開発し、医療機関へ販売している。
また、外食機会が減り、苦境に立つ飲食店に対し、7月1日から飲食店限定で飲むことができる「獺祭 純米大吟醸 夏仕込みしぼりたて」を発売した。
「少しでも街に賑わいを取り戻す一助になれたらと、『#街飲み獺祭』を銘打ち、飲食店限定のお酒を発売しました。山口の蔵元から完全受注生産で産地直送、新鮮なしぼりたての獺祭を飲食店で味わえます。これは、通年でお酒造りを行う獺祭だからこそできることで、夏野菜や旬の魚とよく合います」