入社1か月半で転職した23歳女性の「会社を裏切り続けた日々」
就職活動から「そのまま転職活動」に
証拠がないのに声を上げて「勘違いさん」の烙印を押されることに怯え、泣き寝入りを選んだ私は再度就活を始めました。
わずかな募集のある出版社も受け続けますが、結局落とされてしまい、都内の出版とは関係ない企業に営業職として採用されました。ほっと胸をなでおろしたのも束の間、本当にこれでいいのか、やはり出版社で働きたい……。「移り気な私が唯一長年好きだった漫画にだけは正直にいたい」と今まで以上に強く思うようになりました。
結局、内定承諾後もずるずると就職活動を続け、気づけば入社日に。そのまま「転職活動」となってしまったのです。
それでも入社してからは、優しい先輩と同期のおかげで、何とか業務をこなす毎日。リモートワークに不満はあっても、会社に対しては不満はなく、1から仕事を覚える日々は、想像したより充実していました。そうは言っても終業後にエントリーシートを書き込み、面接に向かうという二重生活なわけで……。夢を諦めきれない自分、何食わぬ顔で面接の翌日出社する自分と2つの人格を使い分けざるをえませんでした。
出版社から念願の内定をもらう
オンライン会議ではポーカーフェイスを装いつつ、仲間を裏切り続ける生活に感じる罪悪感……。加えて終わりの見えない転職活動は私の心を徐々に蝕みつつありました。
このモヤモヤした生活の終焉が突如訪れたのが5月半ば。都内の出版社での面接終わりに「ぜひ働いてほしい」と告げられました。やっと夢である漫画編集者になることが叶いました。同時に、いつも心の隅にあった「職場に退職の意を伝える」というタスクも目の前に迫ってきていました。
採用が決まった週の金曜日、キリキリと胃が痛む中、労務部に電話を掛け、退職の意を告げました。研修中だったため、引きとめもなく退職理由だけ聞かれてあっさりと退職が叶ったのです。
退職も決まり貸与品を返却し、黙って同期のグループラインを抜けると、世間で言う「普通」ではない道を選んだことへの焦燥感が……。人目を気にしても仕方ないと思い込んでも、つい気を緩めると「自分が選んだ道は正しかったのか」と、終わりのない自問自答が始まってしまいます……。