コロナ倒産した「飲食・食品業界」の9社。収束後も厳しい状況が続くか
その猛威は衰えることを知らず、いまだ緊迫したムードの続く新型コロナウイルス。長期化する自粛要請が経済にに与える影響は大きく、民間調査会社である帝国データバンクが4月27日に行った調査によれば、新型コロナウイルスの影響で倒産した企業は全国で100件にのぼる。
新型コロナウイルスが日本経済に与え続けている影響を把握するため、倒産件数は現在も増加傾向にあるため暫定的にではあるが、新型コロナ関連倒産企業を各業界ごとに見ていきたい。
観光業界での倒産企業を紹介した前回に続き、今回は飲食業や食品業など「食」に関する業界を見ていこう(※情報は4月28日時点)。
当然ながら客足減が大きな理由
飲食業で負債額が最大となったのは奈良県で合計8店の出前寿司「あづまケータリングサービス」を展開していた「(株)東鮓」だ。ピーク時の1990年には売上高26億1041万円を計上していたが、その後の事業拡大に失敗。
その後、合理化を進めてきたものの売り上げは伸びず、新型コロナウイルスの影響よる客足減が決定打となり自己破産を申請した。負債額は約7億6500万円。なお新会社への事業引き継ぎを進めており、営業は継続中。
食品業での負債額最大は百貨店や駅ビルなどに直営の小売店「八王子一丁庵」を約20店舗展開していた「(有)豆匠たかち」だ。豆腐や揚げ物の製造販売を行なっていた同社は創業50年以上の老舗で、地下100メートルからくみ上げた地下水を使ったこだわりの豆腐が人気だった。
しかし、近年は原材料の高騰や価格競争の激化により資金繰りが悪化。新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減し約5億6000万円の負債を抱え倒産した。
この2社のように飲食・食品業の倒産理由の多くは、来客数、販売数の減少に加え、観光業と同じく新型コロナウイルスの影響を直接受けた結果となる。
そのほかには、売り上げ低迷に加え「従業員への衛生用品確保が困難」のためとした静岡県の生ロールケーキ専門店経営の「(有)藤栄堂」(負債額:約2億6000万円)や、事業拡大に伴う借入返済が新型コロナウイルスによって立ち行かなくなった静岡県で居酒屋を経営する「(有)ライフシナジー」(負債額:約1億6000万円)などがある。