出社命令は拒否できる?命より大事な会議やハンコはあるのか
2020年4月20日、ついに全国に向けて緊急事態宣言が発令され、不要不急な外出は強く自粛要請されるようになりました。しかし中には仕事の都合で出社せざるを得ない社会人は少なくありません。
「ハンコを押すために出社した。」という電車広告もSNSで話題に。このように、不要不急とも思える理由で出社を求められた場合、従業員は出社を拒否できるのでしょうか? そこで、主にオフィスワーカーの事情について、今回も弁護士で公認会計士の資格を持つ後藤亜由夢先生に話を聞きました。
よほど不合理なら従う必要はない
緊急事態宣言が出て、不要不急な外出はさらに自粛するように求められています。このような状況下で会社から出勤命令が出た場合、出勤しなければならないのでしょうか?
「従業員は入社時に会社と雇用契約を締結します。そこには、従業員は会社の指揮監督に服する義務があることや就業場所等の労働条件などが書かれてあります。そして雇用契約書には従業員への拘束力があるので、基本的には従業員は会社の指令に従わなければなりませんし、会社が指示する就業場所で仕事をしなければなりません。
ただ、原則として企業側に強制力はありますが、その指令があまりに不合理であるような場合には強制力はありません。違法行為を行うような指示・命令はもちろん、パワハラ・セクハラにあたるような指示・命令、公序良俗に反する指示・命令に従う必要はありません」
働く人の安全に配慮しない会社は違法
また、すべての会社は、労働者が安全に働けるよう配慮する義務があります(労働契約法5条)。通勤電車やオフィスで感染リスクがあるのに、会社がテレワークの努力を怠って出社を命令したなら、「安全配慮義務違反」とも言えるはずです。
新型コロナでは、まだ裁判が起きたりはしていませんが、いつか「出社命令のせいで感染した」として会社に損害賠償請求訴訟を起こす人が出るかもしれませんーー。
それでは、新型コロナ感染したくないからと、出社拒否したら何か処分を受けなければならないのでしょうか。