“部下いじめ”が蔓延する職場。社長に直訴したら残酷な一言が…
部下いじめの理由は「上司の過去」?
「もしかしたら昔、空手をやっている人間にいじめられた過去でもあるのかもしれませんが、本当のところはわかりません。いずれにせよそういう部下への横暴がまかり通っていた会社でした。その数年前まではあんな会社じゃなかったんですが……」
会社が変わったのは、澤谷さんが入社して3年目のこと。マネジメントできる人材が定着しないことを苦慮した経営陣が、ある方針転換を打ち出したのです。
「部の運営方法や部下の人事権を、マネージャーに移譲したんです。マネジメントする層が仕事しやすい環境を作ることで、人材の確保と流出を防ぐのが目的でした」
それまではマネージャーに対しプレッシャーをかけ、あれこれと指示を出していた経営陣が一切、口を出さなくなったそうです。
「でも、そのせいで平社員が割りを食うことになったんです。マネージャーの権限が強くなって、しかも誰も咎めないんですから。それは部下にしわ寄せがきますよ」
イエスマンばかりで部下は疲弊…
部員はマネージャーのイエスマンばかりになり、そうではない人間やマネージャーが気に食わない人間は攻撃の対象に。そうして標的になったのが澤谷さんの同期でした。
「僕はマネージャーに対し、心を無にしてゴマをすっていたので、同期ももっとうまくやれていればと思う面もあります。でも、マネージャーのいびりは普通の企業だったらとっくに問題になっているレベルでした」
部長に次ぐポジションであるリーダーになるには、マネージャーの飼い犬になるしかなく、そのことも権力を強化する要因になっていたそうです。
「制度が変更されてから日が経つにつれ、マネージャーの横暴は増していきました。大体どの部署にも出社できなくなったり、精神的に病んでしまう社員がいました。以前は笑い声がよく聞こえてくる部署もあったんですが、マネージャーの顔色を伺うようになってからは、愛想笑いしか聞こえなくなりました」