新型コロナで中国撤退も…ワタミが“赤字ブラック企業”から復活していた!
新型コロナウイルスで会食の自粛ムードが広がり、国内・海外で多大な影響を受ける飲食業界。2020年2月4日に外食事業を手掛けるワタミグループ/ワタミ株式会社(以下、ワタミ)が中国本土における和式外食事業の撤退を発表しました。
中国においては、2005年に深圳(セン)に1号店をオープンして以来、上海・深圳・蘇州・広州に「和民」「饗和民」「三文魚伝説和民」など7店舗を展開していましたが、具体的な日程は未定であるものの、これらをクローズすることに。
実は、他社に先んじた素早い撤退決定の背景には、新型コロナの流行だけに留まらず、ワタミの中でひそかに進行していた飲食以外の事業の拡大が背景にあると考えられます。今回は国内事業の拡大を目指すワタミの経営事情について読み解きます。
撤退の背景には新型コロナウイルス
ワタミは、中国本土における「和民」業態などの撤退を臨時取締役会で決議しました。
発表された資料によれば「昨今拡大しているコロナウイルスの影響は長期化が見込まれ、中国経済の先行きも非常に不透明。将来の見通しを総合的に判断した」と、新型コロナウイルスの影響であることを示唆しています。なお、撤退の時期は調整中とのこと。
最近では、日本国内でも「和民」を冠する居酒屋を以前ほどは見かけなくなり、事業がうまくいっていないと考える方々もいますが、実はそうではありません。ワタミは居酒屋業態を主体とした外食事業の“一本足打法”からの脱却をはかり、事業の多様化を進めてきたのです。
事業セグメント別の決算情報を見ると、そもそも近年のワタミは国内・海外の外食事業ではなく、国内の「宅食事業」に注力し、これが主要な利益を生み出しています。