「ブルース・リーになりたかった」鬼才・三池崇史監督が語る創作の最前線
登場人物が勝手に暴れるのを撮っている
――マイナーやカルトそのものではなく、そこに惹かれる自分が好きという人もいますね。
三池:僕はそういうのを意識したことがない。自分を分析して他者と比べてどうというのもないし、本当にポップで大衆的なものを好きと感じるだけ。
――監督の作品は、商業映画としての人気もありつつ、カルトと称されることもあります。
三池:登場人物が勝手に暴れるのを撮っているだけです。たとえば、『初恋』に出てくるヤクザの組員の中に『殺し屋1』(’01)の垣原が紛れ込んでいたら、大バイオレンスになるだろうけど、そうならないのは垣原がいないから。代わりに加瀬(染谷将太)や大伴(大森南朋)がいるから、こういう展開になっていく。
だから、今回の物語も期せずして生まれてしまうわけですよ。生きていればどんな素晴らしいやつだろうと、くだらないやつだろうと、その価値は別として、誰かと誰かが出会うきっかけや、不幸にするきっかけを作っている。今回は、そこで恋が生まれるという作品になったわけです。
<取材・文・撮影/望月ふみ>