夏帆、10代から“仕事”をして気づいたこと「映画の世界が好き」
関係性を築く上で「察して」はダメ
――塔子と運命の再会をする鞍田を演じた妻夫木聡さんとのシーンで、大切にしたことは?
夏帆:鞍田さんとのシーンは台詞が少なく、言葉でのやりとりではないところで強い繋がりを表現しなくてはなりませんでした。どんな眼差しを相手に向けるのか、どんなふうに相手に触れるのか、そこを丁寧に演じるよう心がけました。
――ふたりの関係をどう感じますか?
夏帆:これだけ強い思いで惹かれ合っているふたりというのは、憧れる部分もありますよね。でもそれはきっと刹那的だからだとも思います。
究極の恋愛ですし、演じていても、どこか非現実的な感じがしました。現実のような、そうではないような。夢の中のような感覚でしたね。
――20代後半の夏帆さんにとって、現時点での理想の結婚像、家庭像はありますか?
夏帆:なんでしょうね。でも、塔子と真の関係をみてみると、相手とどれだけコミュニケーションを取れるのかは、やっぱり大事だと思います。人って言わなきゃわからない。
よく「察してよ」と言ったりしますが、そうじゃなくて、相手にちゃんと伝えるということは、関係性を築いていくうえで、とても初歩的なことですし、必要なことだと思います。
毎日がすごく劇的で濃密な撮影だった
――鞍田、柄本佑さん演じるふたりの同僚の小鷹、間宮祥太朗さん演じる塔子の夫の真と、3人の男性が登場します。夏帆さんはどの男性がステキだと思いますか?
夏帆:それぞれに違った魅力があるので、ひとりを選ぶのは難しいです。鞍田さんは塔子が絶対的に惹かれてしまう人。
きっとかつての恋愛が忘れられなくいて、塔子のなかにずっと存在があって、もう理屈ではなく惹かれてしまう。引っ張られててしまうのだと思います。
小鷹さんは塔子が等身大でいられる人。何も繕わずに一緒にいられる相手なのかなと思います。真くんは、塔子とはすれ違ってしまったけれど、すごくいい夫で、いい父親です。そんなふたりが上手くいかないというのは、すごく切ないですね。
――出来上がった作品をご覧になっていかがでしたか?
夏帆:どうしても自分自身の芝居の反省をしてしまうのですが、どのシーンも印象的なものになっていると思います。
クライマックスに繋がる冒頭の電話ボックスのシーンも、雪のシーンも、小鷹さんと浅草の街を疾走するところも、鞍田さんとの再会のシーンもとても美しかったです。毎日がすごく劇的で濃密な撮影でした。難しいシーンも多かったですが、ステキなシーンばかりだと思います。