80万円でマンションオーナー「元手なし不動産投資」の危ないカラクリ
みなさんこんちには、のらえもんです。
20代の頃、満員の通勤電車に乗ってて、窓の外を見てふと思ったことがあります。
「あーここから見えるマンション1つでもオレのものになったら、こんな一生懸命になって働かなくてもいいのになー」
はい、そうです。今回は夢の不労所得、不動産投資についてです。
元手なし不動産投資のリアル
資本主義社会はお金がお金を産むシステムです。もし、あなたの預金通帳に1億円あったら、株を買えば年間2~4%の配当金が出ますから、家さえなんとかすれば食費に困ることはなさそうです。そのお金で株ではなくアパートを買ったら、入居者の家賃が自分の収入になります。
でも実際に20代サラリーマンの貯金通帳に1億円があるわけありません。そうそうまとまった貯金なんかできないのが実情です。貯金がなくても不労所得がほしい! 不動産投資がしたい! そんな人に向けたエントリです。
元手がない、いや数十万円くらいならあるよ!って方、どうしたら良いのでしょう? いきなり1億円の物件を買うのは怖いということで、もうちょっと単価が安い、中古ワンルームマンションの事例を考えてみましょう。
不動産投資についてちょっとググったり、業者や成功した大家さんが主催する“不動産投資勉強会”に参加すると、「元手なしの不動産投資ができます!」と、これでもかと案内されます。
不動産投資勉強会でこんな資料、見たことある?
あるいは「これであなたもマンションオーナー」とこんな囁きを受けることになります。
「あなたは安定した勤め先がある、つまり“信用力”があるのです。この信用力を使って借金でワンルームマンションを買いましょう。なに、頭金は10万円、諸費用70万円の計80万円で始められます。東京は単身者需要が今後も旺盛です。あとは入居した人が払ってくれますから、ほとんどタダでワンルームマンションを持てるのです」
とある不動産投資勉強会で渡された「ワンルームマンションの物件概要資料」です。
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■豊島区のワンルーム 駅から徒歩10分・22平米・築10年
価格:2400万円
頭金:10万円
ローン:2390万円
諸費用:70万円
※手出し資金として、頭金と諸費用計80万円で初められます。
■ローン
条件:◯◯銀行、2390万円・変動金利1.75%・35年
■収支計算
想定賃料:8万7000円/月
ローン支払い:7万6140円/月
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おっ、賃料とローンの差額で月に1万円も浮くじゃないですか。これならお小遣いもできそう、でももうちょい下を見るとこんなことが書いてます。
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管理費・修繕積立金:1万円/月
管理代行手数料:3000円/月
差額:△2140円/月
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なるほど、差額がマイナスなんですね……と席を立とうとすると。
「ちょっと待ってください、こちらは不動産所得となります。給与所得と合算すると、所得税が還付金となって戻ってくるのです。節税できるので、結局は得なのです」
なるほど、試算によると、結局は差額以上の所得税還付が受けられるとのこと。
「つまり、節税をしながら最終的にワンルームマンションがあなたのものになるのです! ローンを払い終わったらそこからはすべて収入になります。年金が当てにならない今、資産形成のチャンスですよ! 数戸買えばリスクヘッジにもなります」
ふと勉強会の会場を見回すと、営業マンの説明に前のめりになって聞いている人がたくさんいます。そりゃ不動産投資したくて業者主催の勉強会に来るんだから当然か。