キッチンカーの料理が「カレーとタコライス」ばかりである理由
カレーやタコライスが供給過多に
――売り上げる秘訣やフードトラックと相性のいい料理のジャンルなどはあるのでしょうか。
向:地道に改善を繰り返す他ありません。中にはイベントで売ると儲かると聞いて始められる方が結構いらっしゃいます。でも、人が大勢集まるイベントだからといって、売り上げがいいとは限らないんですよね。
売れるイベントはもちろんありますけど、どう頑張っても売れないイベントもある。本来なら売れるはずなのに、そこに雨が降ると売れなくなったりもします。つまり、不確定要素が多いのです。ですので、イベントは出店に収益を頼るのはリスクが高いのです。
ただ絶対に言えるのは提供スピードが素早くないと売り上げを上げられません。それもあって、比較的早く提供しやすいカレーやタコライスをやられる方が多く、ライバルが多くなると出店できる機会も少なくなってしまいます。よく、「売れてるメニューは何ですか?」と質問をいただきますが、偏りが出てしまう問題もあります。
おいしくても売れるとは限らない
――脱サラして始められる方と本職でもともと料理をやっていた方を比較すると、味はもちろん、売り上げにも差が出てきたりするものですか。
向:大きな差はないかと思います。料理をされてきた方のほうが美味しいものを提供される可能性は高いと思いますが、おいしいだけで売れるわけではないと思っています。おいしいのは大切ですが、それとあわせてそのおいしさを伝えられるようにする必要があります。
飲食店をやっていた人で、フードトラックを「1.5号店」みたいな形で始められる方もいます。あとは有名なお店がプロモーションの一環として参入するケースも増えてきました。
昔はフードトラック専業の方や固定店舗への足がかりといった方が多かったのが、多様になってきますね。
――車に取り付ける看板が売り上げに影響することはありますか。
向:よくイベントで見かけるようなメニューの写真を車体のいたるところにベタベタ貼るような形はあまりオススメしていなくて、A型看板のみといった、シンプルで落ち着いた印象のファザードを推奨しています。
あとはメニューを絞り込んだほうが料理へのこだわりやコンセプトは伝わりやすいです。それに種類を増やすよりは少ない種類のメニューを集中して良い物を出したほうが利益も上げやすいですよね。