アジア初の快挙も。米アカデミー作品賞、大混戦を予想する
『1917 命をかけた伝令』☆☆☆☆☆
アカデミー賞の前哨戦といわれる「英国アカデミー賞」、「ゴールデングローブ賞」で作品賞を獲得したことで、一気に本命の位置へと駆け上った。
監督は、過去に『アメリカン・ビューティー』(1999年)で作品賞、監督賞をはじめ、各賞をさらったサム・メンデス。近年では『007 スカイフォール』(2012年)、『007 スペクター』(2015年)で、007シリーズに優雅な映像美を与えたことが記憶に新しい。
悪夢のように激しい攻撃に見舞われる戦場のなかを駆け回る兵士の姿を、ノーカット演出で描いていくという内容で、映像作品としての面白さにくわえ、戦争を扱ったテーマの深刻さなど、票を投じやすい要素が多い。波乱が起きなければ本作が作品賞を受賞するだろう。
『パラサイト 半地下の家族』☆☆☆☆★
\ 『 #パラサイト半地下の家族 』新ビジュアル解禁 /
「ひとつの家族」のように収められた「貧乏家族」と「裕福家族」…背景に配された数々のアイテム…
一体、物語ではどのように登場し、交差していくのか
アカデミー賞 最有力、ポン・ジュノ監督最新作 1.10公開https://t.co/MuAzUsuz8J pic.twitter.com/bqTZneJoBi
— 映画『パラサイト 半地下の家族』 (@Parasite_JP) 2019年11月19日
『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)、『母なる証明』(2009年)などの傑作を撮った天才ポン・ジュノ監督の、これまでの作品の要素を詰め込んだ一作。芸術性と娯楽性が高次元で融合した本作は、カンヌ国際映画祭において韓国映画初の最高賞(パルム・ドール)を受賞。
カンヌでの快挙をきっかけに、ポン・ジュノ監督への熱視線が世界から向けられ、ファッション誌や人気トーク番組などに監督は引っ張りだこ。もしも本作がアメリカ映画だったとしたら、この追い風に乗ってアカデミー作品賞受賞は確実だっただろう。
ネックなのは、初めて作品賞にノミネートされたアジア圏の映画であること。同じようにヴェネツィアを制し、昨年のアカデミー作品賞で大本命だったはずが、受賞に至らなかった外国語映画『ROMA/ローマ』(2018年)のように、作品賞ではなく監督賞の受賞に終わるのではという見方も。
だがそれだけに、もし本作が作品賞の受賞を果たせば、世界のエンタメ界に、日本も含めたアジアの存在感が強まることは確実。今回の“台風の目”となるだろう作品だ。