年収1000万円のウラに…人材を食い潰す「魔のミーティング」の実態
マネージャーに呼び出され詰問され…
ベンチャー企業に転職することを前向きにとらえていた柳川さんでしたが、売上目標が1か月経っても達成できない場合は、マネージャーから呼び出されて、落ち度のあるところを徹底的に突いてくるのだそうです。
「300万円のロスだけど、どうするんだ」
「次で巻き返します」
「巻き返せなかったじゃないか」
「次は必ず」
「できなかったらどうするつもりだ」
「……」
「ロスが増え続けるってことだよ、わかっているね(睨む)」
まるで言葉の拷問を受けているような痛みを感じ、「クズ」などという言葉の暴力にも次第に麻痺してしまう。最後はだんだん廃人化していくような感覚になっていったそうです。当然のように売上も下降の一途。
年収1000万円のウラに…下剋上の世界
「会社は10人雇って9人辞めても、一人が年収1000万円を稼げる、スーパーマッチングするような人材を求めているんです。ベンチャー会社に人を見る目がないというより、10人集めて、その中で一人生き残ればいいという乱暴なやり方なんです。育成する文化がない。まるで外資系のようでした」
柳川さんはついに辞職を提出します。
悔し涙を堪えながら「大手アパレル会社で自分はぬるま湯につかっていた。でもこんな経験はめったにないから、次回は死ぬ気で頑張ります」と語ったそうです。
その甲斐があって、辞職から半年後に、中堅の企業に転職。
企画営業部に配属され、販売は別部門。ベンチャー企業でどん底にたたき落とされた経験を活かして「油断せずに、目の前のことを必死にやります」と気を引き締めているそうです。
<取材・文/夏目かをる イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
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