モテない3重苦の兄貴に、なぜか求婚者が…弟が下した決断とは?
ネットワークビジネスの凄腕勧誘ウーマンだった
不幸なことに、Uさんの直感は当たってしまいます。彼女はあるネットワークビジネスの凄腕勧誘ウーマンだったのです。
「ネットの情報をもとに、私費で探偵を雇った結果、彼女がネットワークビジネスの幹部で、勧誘の達人であることが判明しました。まるで結婚詐欺師のように、ターゲットに自分のことを好きにさせて、ビジネスに引き込むのです。彼女は、Sを引き込むだけでなく、その過去の栄光を利用して、さらに信者を増やそうとしているとわかり、それはマズいと思いました」
Uさんの報告を受けた両親は、探偵の意見も聞いたうえで、Sさんと彼女の結婚に大反対します。おまけにSさんは、父親が退職金を使って購入した賃貸用アパートの一室に住んでいて、そこに彼女を連れ込もうとしていることが明らかになります。
「俳優業とバイトで稼ぐ生活費はわずかなものなので、両親は温情で家賃をタダにしています。ただでさえ、両親に甘えているのに、Sはいまだに現実を受け入れていません。夢見る兄を利用しようとしている女性を、僕は許せませんが、なかなか本人にも合わせてもらえず、Sにも聞き入れてもらえません」
Sさんの結婚を巡る騒動をしばらく静観しよう。そう決めたUさんですが、「ここまできたら一度ダマされて現実を見てほしい。最悪、Sさんが一度結婚して後悔しても仕方ないと思います」と語ります。
― 特集・兄弟姉妹のトホホな話 ―
<取材・文/夏目かをる イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>
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