社長逮捕で株価急落のプレサンス。不動産業界での評判は?
資産400億円超の創業社長がなぜリスクを?
プレサンス社の創業者である山岸容疑者は、個人と法人合わせて同社の株式を40%保有する大株主でもあります。株資産のみで400億円を超える大資産家が18億円のために逮捕されるリスクを取る必要はあったのでしょうか。リチャードホールさんはその背景をこう推測します。
「ここ数年、大阪ではまとまった開発用地がほとんどありません。そのため今回のような7000平方メートル超ある開発要地は非常に希少性が高いです。仮に一般市場で売りに出れば高い確率で入札となり、競合も増え高値取引となる案件です。そんな一等地を相対取引(市場を介さず売り主と買い主の一対一での取引)で購入できるとなれば、なんとしてでも欲しいと思うのがデベロッパーの性といえます」
用地仕入れの競争激化が招いた事件だと分析します。
「今回の取引では7300平方メートルが32億円で買えたので、約145万円/坪となります。あべのハルカスにも近いこのエリア、容積率によりますが180~200万円/坪が今のマーケット価格でしょう。なので、非常に安価で仕入れられるチャンスと映り、多少のリスクを背負ってでも取りに行く案件と判断したのかもしれません。ですが今回は脇が少し甘かった」
業務への影響は?最悪身売りの展開も?
突然の社長逮捕により、業務に混乱を来たすことは想像に難くありません。実際、プレサンス社にどのような影響がでるのでしょうか。
「恐らく土地の仕入れ契約済で決済未了の案件や、着工中の案件が多数あると想像できます。そのあたりに影響が出ると、会社の存続に関わってくる問題になる可能性もあります。今回の逮捕を受けて、融資を止める銀行も出てきそうですし、少なからずマーケットに影響が出そうなので注視しています」
一方で社員として働く人たちについては、「お勤めの方々は優秀な人材が多いので、同業にすぐ移れるのでは。関西圏ならエスリードや日商エステムが同業で強いので、もうすでに動いているかもしれません」と、人材の優秀さと不動産業界の人材流動性の高さから問題ないとの見解です。
「もしプレサンス社が最悪の事態になったら、どこが救済するのか非常に興味があります。外資は厳しそうなので、国内のプレイヤーだと思います。いい立地の物件も多いので、争奪戦になるかもしれません」
業界再編もあり得る今回の逮捕劇。業界関係者は動向を注意深く見守っているようです。
<取材・文/栗林篤>
【リチャードホール】
全宅ツイ関西支部 法人間の売買仲介を主な生業としております。自他共に認めるサンドバックで、毎日売主と買主に原型が分からなくなるまで殴られています。早く人間になりたい(@okirerebc)