ワークマンの5000円防寒ウェアが最強。開発者に聞く“バイク野郎”の精神
「そんなには要らないんじゃないか」
――現行の2代目モデルはどこが変わったのでしょう?
八木:BIKERSの今のモデルは2代目(BR002)で、初代のBR001は膝パッドとかネックウォーマーとか、いろいろな機能をとにかく盛り込んだデザインでした。ただ、一部のお客様から「そんなには要らないんじゃないか」って声もありました。
また、初代の生地は耐水圧が高くて安価ですが、その半面、透湿がなくて蒸れやすい。なので、BR002では耐水圧を保ちながら透湿のある生地に変えて、蒸れにくくしてあります。生地のコストが上がった分は、余分な機能をシンプルにして、削りました。
こんなに高いカッパは作ったことなかった
――ちなみに八木さん自身の学生時代のバイクライフはどうでしたか?
八木:思い起こせば、学生の頃はコンビニで売っているような安い雨具だったり、本当にお金がないと、レジ袋なんかを切って被ったりしたことも(笑)。ただやっぱり専門店で売っているような何万円もするレインウエアなんて、とてもじゃないけど買えなかったので、ホームセンターで売っている安価なものを使っていました。
――専門メーカーが販売する本格的なレインウエアは数万円が相場ですからね。そんななか、大型バイクでの雨天走行も可能な「BIKERS」が5800円というのは破格の値段と言えると思いますが……。
八木:いや、実は、ワークマンとしては物議をかもすほどの値段だったんです。(ワークマン、カインズなどが所属する)ベイシアグループは、低価格販売がモットーなので、ウエアなら2000円くらいのイメージ。こんなに高いカッパは作ったことなかった(笑)。
でも、今一番売れているイージスのストレッチパーフェクトは4900円ですから、それを見たとき、機能、価値さえ伴えば「4900円でこんなに売れるんだ」と驚いた。
――ユーザーの価値観が変わってきていることを感じたんですね。
八木:そうですね。ただ、良い物を安く作れば、やはり売れるんです。そこにお客様が4900円の価値しか見いだせなかったら売れないし、それ以上の価値を認めていただいているから売れるんだと思います。