ドワンゴ決算に見る「ニコニコ動画」の明らかな不振ぶり
こんにちは!「ブラック企業アラート」運営者の當瀬(とうせ)ななみと申します。本連載では大学生・大学院生、転職希望者向けに「企業のホワイト/ブラック度を見分ける方法」を紹介しています。
今回は「ニコニコ生放送」生配信ユーザーが富士山から滑落する痛ましい事故や、10月末に「はてなダイアリー」に投稿された退職エントリーが世間を賑わせた「株式会社ドワンゴ」について調査していきます。なお、本記事は「インターネット上に公開されている情報」のみを使って書いています。インサイダー情報の類は一切含めていません。
出版大手KADOKAWAとドワンゴが2014年に経営統合し、現在は(株)KADOKAWA(東証一部上場)の傘下にあるドワンゴ。KADOKAWAの2019年3月期(18年4月~19年3月)の連結決算は、最終損益が40億8500万円の赤字に転落、その足を引っ張ったのはドワンゴの不振でした。今期は業績改善しているドワンゴですが、ニコニコ動画で一世を風靡した同社の現状はどうなっているのでしょうか。
ドワンゴの調査観点
企業調査をするにあたって、普段は「ビジネスモデル」「社長の人物/キャラ」「社風」の3点を中心にしていますが、今回は「ニコニコ動画」という創業以来のサービスの軸があるので、
・サービス:ニコニコ動画を中心にした沿革
・企業:ドワンゴをめぐる企業沿革(財務資料も中心に)
・人:社員の働きやすさ・感想(退職エントリー・社員によるblogを中心に)
の順で概観・検証を進めます。通常のフローから変えたのは、調べた結果をわかりやすく伝えるためです。
1)サービス軸:「ニコ動」誕生から「超会議」まで
ドワンゴ社の代表的サービスと言えば、リアルタイムで動画にコメントが投稿できる「ニコニコ動画」です。ニコニコ動画は、2006年12月に「ニコニコ動画(仮)」として試験的に誕生しました。
2007年1月に「ニコニコ動画(β)」にバージョンアップし、サービスを開始します。当時はYouTubeなど他サイトの動画に、コメントを打ち込んで重ねあわせながら鑑賞するビューワーサービスでした。
続いて、2007年6月に「ニコニコ動画(γ)」となり、この段階から閲覧に会員登録が必要になります。その代わり、動画も独自サーバー(SMILEVIDEO)にアップされるようになり、動画サービスとしての始まりはこのタイミングになります。以降は着実に通常会員・プレミアム会員(有料会員)の数を増やしていきます。