台風19号で客足が減少した「大河ロケ地」被害は軽微でもなぜ?
千曲川の増水で、沿線の鉄道に影響も
また上田市では、上田電鉄別所線の橋梁が流出するなどの被害も受けた。同鉄道は市街地と温泉街を結ぶ重要な観光拠点のひとつだ。
「別所線ではラッピング電車や車内でのハーモニカ演奏など、観光の拠点となるような仕掛け作りを続けてきました。近年では北陸新幹線が開業したことで、別所線を経由して足を運ばれる方も増えておりますので、今回の被害による影響は少なからずあります。
旅館組合では、少しでも恩返しできればと言う想いから、19日に別所線復旧のための募金を実施し、535人の署名と約22万円を上田電鉄へお送りしました。千曲川や別所線の被害のインパクトが強く心配される方も多いかもしれませんが、別所温泉は元気に頑張っておりますので、是非、観光にいらしてください」(小林さん)
「来ていただけることが、復興の一助に」
台風による観光の影響は長野県全域に及んでいる。長野県旅館ホテル組合会の報告によれば、長野県全体でキャンセルは約75000人、4億円近くの被害が生じた。しかし、別所温泉のように被害の少なかった地域も多い。
長野市観光情報センター所長の石坂昇さんは「これからの紅葉シーズン、『観光しても良いでしょうか』『失礼にならないでしょうか』といったお問い合わせも多くいただいておりますが、長野は観光で成り立っている都市でもありますので、来ていただけることが復興の一助となります」と話す。
「別所温泉に関して申し上げると北向観音というお寺があります。こちらは北の方角を向いており、南の方角を向く善光寺と向かい合っております。片方だけを参拝すると“片参り”となるため、北向観音と善光寺を一緒にお参りするのが良いと言われています。ぜひ両方を拝みに、長野市、別所温泉共に足を運んでいただければ嬉しいです」
<取材・文・撮影/モチヅキサトシ>
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