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「社員をボロボロにする会社とは」成長企業の闇を山本一郎氏・常見陽平氏が斬る

学び

 我々が人生の多くの時間を費やすのが”職場”。働き方改革が叫ばれているが環境改善の兆しはいまだ見えず、劣悪な環境で心身がボロボロになってしまうことも。

病気になる職場

山本一郎氏(左)と常見陽平氏

 そもそもそういう環境をつくるのは“経営者”にほかならない。では、社員を病気にする経営者とは? 働き方評論家の常見陽平氏と、企業のガバナンスに詳しい投資家・作家の山本一郎氏の対談を開催し、ひも解いていく。

伸びていて働きやすい会社はあんまりない

病気になる職場

山本一郎氏

常見陽平(以下、常見):今、僕は大学で就職委員を担当していて、就活生に「良い会社って何だろう?」と必ず問いかけています。企業のステークホルダーには株主や顧客、取引先、従業員、社会などがあります。世間でもてはやされる「いい経営者」は、「株主や顧客にとっていい経営者」であることが多いです。

 つまり「従業員にとっていい経営者」かどうかは別。トップが崇高なビジョンや高い目標を掲げていても、実務を担う現場の従業員がついていけないケースは非常に多いです。

山本一郎(山本):その視点は重要ですね。組織で働く人に経営の指針を示さなければ経営者ではない。一方で、日本屈指のWebサービスを運営する企業でも、トップが従業員に無理をさせた結果、若手がバタバタ辞めている現実もあります。

常見:企業の風土に合わない、能力が追いついていない人がなぜ入社してしまうのかという問題でもあります。ただこれも根が深くて、“ブラック”と叩かれるのは、急成長中の企業に多いです。企業側は成長のため大量採用をするし、求職者側も「あの成長企業に」っていう感じで入る。結果として、膨張し、収拾がつかなくなります。

山本:結局、伸びていて働きやすい会社ってあんまりないですよね。無理でも頑張るから伸びる。

時短ハラスメントは重大な論点

常見:働き方改革って本当に茶番な部分が大きいですが、企業が提供してくれるのは所詮“飴玉型”の働きやすさですからね。「ウチはこんなにいい会社だよ!」ってアピールするための施策をして、実際には誰も活用してないか、一部の社員のためだけとか。

山本:無料の社員食堂をつくったけど「正社員しか使えません。契約社員はダメ」みたいなね(笑)。

常見:あるある(笑)。

山本:頑張らなかったら居場所がないっていう仕組みの会社のほうが伸びる事実があるから、睡眠時間を削ってでも働こうとして病んでいくんですよ。今の収入を維持しないと生活できないとか、育児で休職したら出世の見込みがなくなるとかね。中間管理職も部下が休んだら自分は休めないですし。

常見:時短ハラスメントは重大な論点ですよね。管理職にどんどんしわ寄せがいっている。

山本:特に牛丼チェーンやコンビニ、紳士服なんかでの店長やエリアマネジャー問題は深刻ですよね。雇われ店長なのにやれ打ち合わせだなんだと駆り出され、バイトのシフトが入らなければ自分の店でもないのに働かされる。現場に時短だの働き方改革だのを任せると、店長は朝から晩まで牛丼を盛らなきゃいけないんですよ。

常見:経営者が「働き方改革」をアピールして目立ってる会社は、気をつけたほうがいいですよね。結局、人を採れない企業が働き方改革を推進するんですよ。飲食、アパレル、ITと、人が採れないから変えざるを得なくなっただけ。

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